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［和side］
智にぃが入院して
1週間。
翔にぃは病院に泊まり込んで、付きっ切り。
その甲斐あって智にぃは笑顔を見せてくれる
ようにもなった。
ただ、幻聴と幻覚はゼロにはなっていなくて
夜中に叫ぶこともあると翔にぃから聞いてるけど…
「智にぃ、おはよう」
潤「おはよー」
学校が休みだから朝から面会にきた。
智「…おはよう」
ベッドで上半身を軽く起こした智にぃは
今日は元気がないみたい。
目の下には薄っすらと隈がある。
「寝てもいいからね…」
智「ありがと…」
雅にぃは俺らを病院に送ってから仕事に行ったから
今日は4人でのんびりする予定。
学校でのこと、ゲームのこと、フットサルのこと。
ほぼ毎日会っているのに話は尽きない。
色々と喋っていたら、智にぃが寝息を立て始めた。
翔「昨日さ、夢見て魘されて…」
「そっか…」
翔「久しぶりに『家に帰りたい』って泣いて…」
「…ん」
翔「俺らの名前、ずっと呼んでたよ…」
そっか…それで寝られなかったんだね。
翔にぃは智にぃの髪の毛を撫でるように優しく
触りながら「もう十分。守ってもらってる
のにな…」って。
智にぃ自身も気が付かないところで、長男だから
俺らを守らなきゃってプレッシャーがある。
それに加えて事故のトラウマも抱えていて。
たまにそれらが爆発して心の限界がきて
しまうんだろうね…
幻聴で聴こえてくるのは、智にぃが無意識のうちに
自分自身に問い掛けている言葉なんだと
今回分かった。
『俺、ちゃんと兄弟のこと守れてる？』
『忘れるなよ、事故は突然起こるんだ…』
『また大切な人を失ったらどうするんだ？』
カウンセリングを重ねることで、心の負担を
減らしていくことができる。
薬を使うことで感情をコントロールしたり、
不安な気持ちを減らすことができる。
俺らは智にぃにいっぱい守ってもらっているから
智にぃの不安が大きい時は、俺らが守るんだ。
智にぃは「心配掛けてごめんね」って
言うけれど、俺は「いつも守ってくれて
ありがとう」って伝えるようにした。
カ「安心した顔して眠れてるね。
やっぱり兄弟の支えが一番だね」
「んふふ…智にぃだいすき」
眠っている智にぃの腕に引っ付く。
この腕で何度守ってもらったことか。
フニャッとした笑顔に、何度安心をもらった
ことか。
大好きな智にぃが沢山笑えるように、俺も力に
なるよ。
守ってもらうことの方が多いけど、いつか俺も強く
なって、智にぃを守ってみせる。
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
