2497.【長男の心の限界】 ページ47
［潤side］
智にぃの異変に
気が付いたのは3日くらい前。
学校に行こうとした俺に「気を付けて行って
きてね」って、毎朝お弁当を手渡してくれるん
だけど、その日はその手が微かに震えてて。
「どうしたの？」って聞いたら「なんでも
ないよ。でも事故には気を付けてね」って。
智にぃは事故がトラウマになっているから
また思い出してしまったのかな…って思って。
学校で翔にぃにLINEしたら「俺も気になってた」
って返信がきて「みんなでフォローして
いこうな」って。
だけど智にぃは何度も何度も、恐怖心と
闘っていたみたい。
夜中に「ぎゃー」って叫び声が聞こえて…
「どうしたの？」
翔「はっきり分かんないけど、幻聴かも…」
ベッドの上で両耳を塞いで「うるさい…」
「言うな…」ってガタガタ震えて。
聴こえるはずのない声を聴いて怯えてる。
翔「…智にぃ？大丈夫だよ、4人しかいないよ」
和潤「ここにいるよ」
雅「智にぃ？」
部屋の電気をつけて、みんなで声を掛け続けたら
やっと認識してくれた。
ポロポロ涙を零しながら「迷惑掛けてごめんね」
って。
みんながいくら「迷惑じゃないよ」って言っても
智にぃは納得出来なくて。
翔「どんな声が聴こえた？」
智「…交通事故は、急に、だからって」
翔「…ん」
智「…大事な人、突然、いなくなる…って」
翔「…そっか」
智「…っ、んっ、んっ…」
呼吸を乱し始めて、あっという間に過呼吸に…
翔「ゆっくり呼吸してね…大丈夫だからね…」
智「…っ、んっ、くる、し…」
翔「大丈夫、だいじょうぶ…」
翔にぃが背中をさすりながら、呼吸法を伝えて。
しばらくしたら落ち着いてきて、そのまま
眠りに落ちた。
翔「今日はこのまま俺がついてるな？」
雅和潤「おねがいします…」
心配で堪らないけど、傍にいても出来ることは
何もないからね…
和「…大丈夫かな？」
「心配だね…」
和の部屋でしばらく2人で話をして。
これからどうなってしまうんだろう…って
心配が頭の中に広がる。
智にぃの様子がいつもと全然違ったし、
幻聴までとなると、重症なんじゃないかとも
思ってしまって。
「俺らにできること…なんだろう…」
和「ん…考えないといけないね…」
いつも助けてくれる智にぃが苦しい時、
俺らには何が出来るんだろう。
きちんと考えて少しでも力にならないとって
思いでいっぱい。
「今日はここで、寝てもいい…？」
和「んふふ…いいよ」
一人は心細い。
兄貴の傍がいい。
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
