2469.【俺があらしを守る】 ページ19
［智にぃside］
あらしの散歩から
帰ってきた和は、縁側であらしを抱っこして
ブラッシング中。
雅「いつまでやってんの、あいつ。笑」
翔「今日は随分と念入りだな。笑」
雅「あひゃ！」
翔「はは！」
あらしの世話は基本よくしてくれている和だけど、
今日のブラッシングはやけに丁寧。
何かブツブツと呟いているし。
リビングのソファーから兄2人にからかわれても
見向きもせずに、熱心にブラッシングを。
さっき散歩に出掛けた時に、顔見知りの人から
犬のノミとかマダニのことを詳しく聞いて
怖くなってしまったとは到底思わず。
「ドーナツとココアだよ〜」
翔雅「やった〜」
双子より先に兄ちゃん達が反応するから
笑ってしまう。
「潤もおいで〜」
和室で雑誌を読んでいた潤も呼べば寄ってくる。
かずは…聞こえてないのかな。
庭の方を向いたまま、未だブラッシング中。
「ウォンッ！」
和「…っ、あ、あらし…」
俺が再び声を掛ける前に、ドーナツの匂いに
反応したあらし。
和の膝からピョンッと飛び跳ねて、ソファーに
向かって走ってきた。
「ウォンッ！」
雅「あひゃ！あらしは食べれないの〜」
「ウォンッ！」
翔「よかったな、ブラッシングしてもらえて」
和「むぅ…まだ途中だったのにぃ…」
「十分だよ、和。ありがとね。おやつにしよう？」
和「はぁい…」
唇を尖らせて不満そうな顔をしながら、手を洗いに
いって、あらしのおやつを持ってきた和。
和「あらしも、おやつにしよーな」
「ウォンッ！」
和「くふふ…」
自分のドーナツには手を付けずに、あらしを
撫でながら、おやつを与えてる。
あらしを見つめるその眼差しは、とても優しくて
幸せそうで…
自分より大切で、守りたいと思える存在に
出会うことって貴重なことだよね。
そんな風に思いながら、俺も見つめる…
ただ、気になることは一つね。
和がドーナツに手を伸ばさないこと。
それは翔も気にしているみたいで、さっきから
和を視診してる。
お昼も軽くしか食べていないし、
普通に生活していればお腹が空く時間帯だと
思うんだけど…
体調が悪くて食欲がないなら心配だな〜…
和「んふふ…美味しい？」
「ウォンッ！」
翔「和は？食わねーの？」
和「食べるけど…」
翔からのストレートな問い掛けに歯切れ悪く
答えた和は、あらしを抱き上げて背中に顔を
埋める。
離れたくない…とでもいうように。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2702人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
