2394.【3】 ページ44
［雅紀side］
身動き取れない
状況になったのは自分のせいだけど…
そんな中で喉の奥からチューブが抜かれる感覚に
耐えないといけなくて。
苦しい…やめてほしい…
どうにかしたくて手も動かそうともがいたし、
顔も逃げたくて動かそうとした。
でもね、智にぃと先生に抑えられていて
敵わなくて…涙だけが溢れてくる。
ほんの数秒だと思うけど、すごく長く感じて…
「…っ、んっ、げほっ…、や…」
やっと抜けた…って思った瞬間に、今度は翔にぃが
吸引のチューブを入れてきた。
翔「ごめん、あと少し…。これだけやらせて」
「…っ、んっ、や…、ん…、…っ、ん…」
智「えらいね、まさき」
先「もうラクになるからね」
「…っ、んっ、…や…、…んっ、…っ…」
先生にまで涙を拭ってもらって恥ずかしいけど
それどころじゃないの。
「や…、んっ、…っ、ん…、げほっ…」
翔「よし、おしまい」
翔にぃはチューブを放って、すぐにタオルで俺の
顔を拭きながら頭を撫でてくれた。
もう、こんな苦しいのは懲り懲り。
そう思っていたのに、一眠りして起きたら
「尿道カテーテル抜こっか」って翔にぃ。
「…やだ、抜かない…」
俺は布団を頭から被って逃げた。
［智にぃside］
色んなことが一度に起こっているから、理解も
できていないし、整理もしきれていなくて
不安なんだと思う。
すっかり末っ子に戻ってしまった雅紀は布団を
捲ろうとする俺らに対抗して「やぁだ…」って
何度も。
翔「すぐ抜けるから大丈夫。やらせて？」
雅「やだ…」
何を言っても返答は同じ。
翔「じゃあ、また先生にきてもらおうな？」
雅「…」
翔「先生と智にぃに手伝ってもらうで
良いんだな？」
翔がちょっとキツく言えば「やぁだ…」って
布団から顔を出して目を潤ませた。
「ふふ…頑張れるもんね？」
雅「…ん」
まだまだかなり迷いがあるみたいだけど、微かに
頷いたように見えた。
そうと決まれば準備は早い。
翔「ちょっと違和感あるけど、動くなよ？」
雅「…っ…」
翔「泣くな。もう怒ってねーから。笑」
雅「…泣いてない」
からかいながらもパパッと消毒まで済ませて
くれて「智にぃ、お願い」って。
翔「我慢な？」
俺が太ももを軽く抑えるのとほぼ同時に、
翔が尿道カテーテルを引き抜く。
雅「…っ、いたっ…」
翔「終わるよ」
雅「…っ、ん…」
ちょっと痛かったみたいで…
飛び出した言葉が「ばかっ」だった。笑
翔と顔を見合わせて笑ってしまう。
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作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
