2393.【2】 ページ43
［先輩side］
雅紀くんは
チアノーゼを起こしかけていたくらいだから
器械に頼らずに呼吸することが心配なのかも
しれない。
翔くんもそう思ったみたいで、チューブを
掴んでいた手を一旦離して、雅紀くんの胸元を
さすりながら「もう大丈夫だから」って
伝えてる。
それでも尚、フルフルと振られる首。
翔「大丈夫、信じて。な？」
意識がある状態で、いつまでも挿管しているのは
苦痛が大きいから。
翔くんがちょっと強引に抜管を進めようと
再びチューブに手を掛けたら…
雅「…っ、ん…」
その手を払って、再びチューブを掴んだ雅紀くん。
嫌々と表現するように何度も首を振って
涙をポロポロ零してる。
ここでやっと、俺も翔くんも気が付いた。
それは智くんも同じだった様で…
智「まーさ？大丈夫だよ。すぐ抜けるから」
チューブを掴んでいる手に、自分の手を重ねて
優しい笑顔を向けている。
雅「…っ…」
翔「すぐ済むから」
雅「んっ…」
抜こうとすると、払われる手と掴まれるチューブ。
翔くんが説得を試みたけど、聞く耳持たず。
翔「まさ？」
雅「…」
翔「…まーさ？」
雅「…」
しまいにはチューブをキツく掴んで
そっぽを向いたまま反応しなくなった。笑
急にこんな状況になって、気持ちの整理もついて
いないし、不安も大きいんだろうね。
説得に応じてくれないなら、ある程度は強行
してしまうしかない。
薬が完全に切れてしまったら、今よりずっと
苦しくなってしまうし…
翔くんから「いいですか？」って小声で質問
される。
「強行突破」って意味を理解した俺は
頷きながらサポートの体勢をとる。
智「ラクにしてもらおうね」
頭を撫でられて気を抜いた時を狙って
智くんが雅紀くんの手をチューブから離させて
胸元で固定。
「ちょっとだけごめんな〜」
俺は両肘で肩を固定しながら、両手で顔を固定。
翔「ごめんな、雅紀。すぐ済むから」
雅「…っ、んっ…」
しゃべれる状況だったら「やめて」「いやだ」
「まって」って、きっと騒がしいんだろう。
翔くんが「雅紀はインフルエンザの検査で
ギャーギャーうるさいんです。笑」って
ボヤいていたことを思い出した。笑
翔「ちょっと我慢な〜？」
「がんばれ」
雅紀くんの意思とは関係なく、翔くんの手が
チューブを掴んでゆっくりと抜いていく。
雅「…っ、んっ、んっ…」
嫌がって首を振ろうと力が入ったけど
まだそこまでの力がないから固定できる。
長いチューブが抜かれていく…
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作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
