2384.【2】 ページ34
［潤side］
ピッピッピッピッ…
緊迫した空気の中で雅にぃは眠っている。
『どうせ智にぃと
翔にぃは、俺には無理だと思ってるんでしょ』
『2人して反対して…
もういいよ、やんないから』
今朝、雅にぃが兄貴たちに言い放っていた言葉が
頭の中で何度もリピートされる。
智にぃも翔にぃも「雅紀には無理」って思って
反対したわけではないと思うんだ。
でも、雅にぃがそう思ってしまったなら…
しかもそのまま、こうして意識を失ってしまったと
したなら…
このままでは俺も納得がいかない。
智にぃと翔にぃの気持ちを、きちんと知って
欲しい。
そして2人にも自分のこと責めるようなことには、
なって欲しくないから…
翔「しばらくは、ここで過ごそうね…」
翌日なってICUから、310号室に移動した雅にぃ。
変わらず意識なく寝かされているけれど、体は
温かいし、表情も苦しそうではないから
ちょっとだけ安心できる。
担当医は翔にぃの先輩の先生。
翔「体、拭いてやってもいいですか…？」
先「ん、いいよ」
最初は雅にぃの姿を見て涙を流していた兄貴たち。
今は「俺らに出来ることは何でもするから」って
回復に向けて、前向きになった。
智「まさき〜、気持ちいいでしょ？」
あんまり皆で拭くのもあれだし。笑
俺と和はソファーに座って、兄貴たちの声掛けを
黙って聞いていた。
翔「痛いとこ、ないか？」
まるで雅にぃと喋っているみたいに、温かくて
ゆっくりした雰囲気。
智「まさ？雅紀の実力は分かってるから。お前には
できないなんて思ったこと一度もないんだから…」
翔「そうだよ、雅紀。誰よりも努力家で責任感が
強いこと知ってるから…」
智翔「傷付けて…ごめんな？」
兄貴たちの気持ちは痛いほど伝わってきて…
今すぐにでも雅にぃを起こして「智にぃと
翔にぃの話を聞いて！！」って言いたいくらい。
翔「床擦れ気を付けてやらないとね…」
智「だね…」
和の時もそうだけど、同じ姿勢でばかり
寝かされていると床擦れしてしまうから。
翔にぃはクッションを借りてきて、背中に挟んで
あげた。
それからは時間を決めて体勢を変えてあげて。
モニターに少しでも変化があれば、すぐに先生を
呼んで診てもらってる。
ほんとは翔にぃが主治医でもよかったんだけど
「今回は兄として傍にいたい」って、翔にぃが
先生に頼んだんだって。
雅にぃね、嬉しいと思う。
だって大好きなお兄ちゃん達に、こうして
ずっと傍にいてもらえるから…
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作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
