2108.【2】 ページ8
［翔にぃside］
ストレッチャーに
寝かされた和は意識がなくグッタリ…
先「呼吸は安定してるな…」
「そうですね、よかった…」
自発呼吸はしっかりしていて問題なさそう。
駆け付けてくれた先輩と処置を進めながら、
救急隊員の人から話を聞く。
救急車を呼んでくれたのは犬の散歩をしていた
近所の人。
「スマートフォン、握りしめて倒れて
いたそうです」って言葉に、思わず処置の手が
止まった。
「助けを求めて電話しようとしていたのかも
しれませんね」って…
薬をしっかり飲んでいるし、スマホが手元に
あったなら電話くらい出来たはず。
そう考えると、昨日からの喧嘩が、俺らに電話
することを躊躇う原因になったかな…と。
先「翔くん？大丈夫…？」
「あっ…すみません…」
早い段階で電話出来ていたら、不安な時間も
少なく済んだかもしれない…
そう思ったら堪らなくて和をギュッと抱き締める。
先「どうした？喧嘩でもしたか…？」
「はい…。さすがですね…笑」
ほんと、さすがだよ…
何でも分かっちゃうんだから。
先「意地張って連絡出来なかったんだとしたら
翔くんに負けないくらい相当な強がりだな。笑」
「はは。ですね」
そうなんだよな…
和は意地っ張りで強がりで、素直になれない。
だから、連絡できなかったんだと思う。
それを分かっていたのに、対応出来なかった
俺らがいけなかった。
苦しかっただろうに…
寂しかっただろうに…
些細な言い合いだったんだから今朝の時点で
俺らが先に解決してやれたら良かったんだ…
先「色々思うことはあるだろうけどさ…笑」
先輩は俯いて考えてた俺を見て笑って「ほら、
和くんがお目覚めだよ？」って。
慌てて処置台を見たら不安そうに瞳を揺らした
和が、こっちを見てる…
「ごめんな…かず」
思わず口から出たのは謝罪の言葉。
和は首を小さく振って「んーん…」って。
それからすぐに目を閉じてしまった。
先「発作で、かなり体力使ってるからな。
一泊くらい入院させるだろ？」
「そうですね…」
先「だったら点滴しておこうか」
「…はい」
肩をトントン叩いて「点滴させてな？」って
声を掛けておく。
和は目をトロン…とさせてる。
まだ分かってないみたいだから、このまま
先輩にやってもらおうかな。
和「…ょにぃ、…て、ね…？」
「ん、いるよ…」
再び目を閉じた和の右腕を引いて先輩に合図。
先「和くん〜、すぐ終わるからな〜」
先輩の優しい声…落ち着く。
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
