2107.【発作…連絡できない】 ページ7
［和side］
学校からの帰り道。
今日は血圧が少しだけ低かったから
寄り道は許可されなかった。
潤はフットサルの練習に行ってしまったし…
つまんねーの…
『少しだけ…』って軽い気持ちで、いつもと
違う道を通って帰る。
「…っ、ん…」
急に感じた胸の痛み…
それはすぐに苦しさに変わってきて、息が出来ない
くらいギュッと苦しくなる。
『発信ボタン押すだけでもいい。な？』
翔にぃの言葉を思い出す。
ペンダントから薬を取り出して飲み込んで
それからスマホを取り出してみたけど…
「…っ、…んっ、ん…」
画面の翔にぃの名前を見た途端に、
胸の痛みと苦しさに加えて、昨日のことを
思い出して涙が零れる…
にぃ達と言い合いしちゃったんだ。
俺は素直になれなくて、今朝も仲直りが
出来なかった…
「…っ、ん…、…っ、…すけ、て…」
通話ボタンを押すことが出来ずに、過ぎていって
しまう時間。
意識は薄れていくのに…
にぃ達に助けて欲しいのに…
意地っ張りで、強がりな自分が邪魔をする。
「…っ、ん…、んっ…」
「救急車は恐いから呼びたくない…」って
言った俺に『呼ばなくていい』『発信ボタン
押すだけでいい』って言ってくれたのに…
「…っ、んっ…ごめ、…なさ、い…」
［智にぃside］
始まりは、ちょっとした言い合いだったのに
俺は、意地を張った和を受け入れてやれずに
今朝もそのまま送り出してしまった…
そろそろ帰宅してもいい時間。
寄り道を禁止された日は、ちゃんと帰ってくる。
だけど、一向に玄関のドアは開かず…
スマホに連絡してみても、ひたすらに呼び出し音が
鳴っているだけ。
喧嘩からの反抗心で、どこかに寄り道しているの
かもしれない…
いや、もしかしたら発作で倒れてるんじゃ…
色んなことが想像できて、頭の中が不安で
埋め尽くされる。
翔に連絡しようか迷っていたら、携帯に着信。
救急隊員の人からで「和也くんを病院に搬送
しています」って…
「すぐに向かいます」って伝えて電話を切る。
やっぱり発作だったんだ…
みんなに連絡して急いで家を出る。
苦しかっただろうな。
車を走らせながら、気が付けば頬を涙が
零れている…
「発作、嫌だな…」「恐いな」って和の不安
そうな表情が何度も何度も思い出されて…
また守ってあげられなかった。
また傍に居てあげられなかった。
「ごめんね、かず…」
駐車場に着いて携帯を確認したら、翔から
連絡がきていて。
指定された処置室へと急ぐ…
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
