2027.【12】 ページ27
［翔にぃside］
昨日まで和と一緒に
ベッドに並んで、楽しそうにゲームを
してくれていた智にぃ。
昼過ぎに覗いた時には、その笑顔は消えていた…
入院になると、一日中付き添うことになるのは
智にぃだから…思うことも多いんだろう。
和の傍にいることが苦しくなる気持ちは、俺にも
分かる。
色々と考えてしまうことだって、しばしば…
少し休息が必要かな…と思って、談話室に
連れ出した。
不安とか思うことを、吐き出してくれれば
いいなぁ〜って。
智「ふふ…気が付かれてた？笑」
「もちろん。笑」
最初は笑って、茶化していた智にぃ。
だけど、だんだんと声のトーンが落ちて
目が潤みだした。
「いいよ、泣いても。俺、この間は智にぃに
助けられたから。お返し。笑」
智「ふふ…」
「…」
智「…っ、…っん…」
和の体をしっかり作ってやらなきゃ…って
焦っていた時、助けてくれたのは智にぃだもん。
俺だって少しは力になりたい。
震える背中をさすっていたら「なんで、なんで…
和なの…？」って。
「…ん、そうだね。俺も思う…」
でもさ、和は言ってくれるんだ。
『俺でよかった』って。
『病気になったのが潤とか、にぃ達だったら
俺、堪えられないもん』って。
『みんなが支えてくれて、恵まれてる環境だから。
だから…俺でよかったんだ』って。
そんな話をしていたら、いつの間にか
笑えていた。
「泣き虫のヘソ曲がりだけどね。笑」って
声を揃えながら…
智「ありがと、翔。スッキリした。もう大丈夫」
智にぃは「和の情緒が不安定になったら
ちゃんとに支えられそう」って笑顔を見せた。
俺も頑張るから…
智にぃには和の傍で笑ってて欲しい。
それから数日後…
和の情緒が不安定になり始めた。
「薬飲みたくない」って駄々を捏ねたり
「点滴のところが痛いから抜いて」って
無茶なことを言ってきたり…
手術10日前になって、カウントダウンが
始まったんだろうな…って。
もちろん駄目なことは「駄目」って叱るけど
だいたいのことは大目にみる。
智にぃもしっかり受け止めてくれて、無理なく
傍にいてくれる…
これで智にぃが無理をしていたら、和はすぐに
気が付くからね。
和「…っ、…ない、ねむく、ない…」
「ん、いいよ。寝なくていいから…」
和「…っ、いっちゃ、う…」
「んーん。いかない。ここにいるだろ…？」
和「…っ、…ゅって、…ない？」
「ギュってしてあげるから。…おいで？」
俺だって、離れたくはない…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
