2028.【13】 ページ28
［潤side］
和は何かに怯えるように
ベッドの端で小さくなることが増えた。
そんな時は決まって「いっちゃう？」って
ポロポロ泣いて…
傍に居る誰かが「いかない」って抱き締めて
あげれば落ち着く。
翔「…ちょっと、熱くない？」
智「…ん？どれ？」
和「…っ、んっ、やだ、…やー」
翔にぃに抱き締められていた和は、智にぃに
おでこを触られて嫌がって反り返る。
翔「かーず…大丈夫。ちょっと触るだけ…」
和「…っん、や…、んー…」
ポロポロ泣きながら智にぃの手を払い除けて…
翔「じゅん？体温計取ってくれる？」
「うん」
この時はね、まだ微熱程度だったんだけど
時間が経つにつれてぐんぐん上がってしまって…
翔「ストレスからくる熱だろうね…」
夜になっても眠れずに雅にぃの腕の中で
ポロポロ泣く和の頭を、翔にぃが優しく撫でる。
翔「また明日、おいで？待ってるな」
「…ん」
翔にぃは雅にぃから和を受けとる。
和「…っ、んっ…いて、いっちゃ、…だ」
途端に和は呼吸を乱して「置いていかないで」
「やだ」「帰らないで」って激しく泣き出す。
雅「かず？また明日くるから。ね？大丈夫…」
和「…っ、…だ、や…」
雅「置いていくんじゃないよ？
智にぃも翔にぃも一緒でしょ？」
和「…っ、だめ、…んな…なきゃ、やだ…」
しゃっくり上げる和の背中を、翔にぃが根気強く
さすり続ける。
翔「かずー…？潤がね、あらしのこと見てきて
くれるんだって。…な？」
落ち着き始めた和を見て、翔にぃが急に話を
振ってきたから一瞬ビックリしたけど…
「…ん。見てくる。ご飯あげて、散歩も
行ってやらないと。な？」
翔にぃが優しく頷いてくれたから、意図を上手く
読み取ることができた。
和「…あらし、待ってる、もんね…？」
「ん、そうだな」
頭を撫でたら笑ってくれて救われる…
翔「ありがとな。あらしのこと、頼むね」
翔にぃは俺の頭をポンポンして「和は任せろ」って
笑った。
熱った和のほっぺにもう一度触れてから
雅にぃと一緒に病室を出る…
雅「よく我慢したね、潤」
「…っ」
雅「よしよし。辛いね…泣いていいよ」
背中に回された雅にぃの手が温かくって…
「…っ、んっ…、んっ…」
バフッ…
抱き付いて気が済むまで泣かせてもらう。
『また明日、和に会える』
そう思っても…
離れるのは辛い。
泣いている和を置いてくるのは辛い。
ずっと傍にいたい…
代わってやることが出来ないなら
せめてそれくらい…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
