5人で生きてゆく…part38 (ページ6)

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1856.【双子のタイミング】ページ6

［雅にぃside］

フットサルの練習試合で
土日、都内に泊まる潤。

荷造りをしながら「和も一緒に行きたかった」って
愚痴るのは、たぶん101回目くらい。笑

ってのは冗談だけど、それくらいずーっと
ブツブツ言ってる。

和はね、1週間前に小発作を起こして自宅療養中。

翔にぃが「行けるように調整する？」って
和に聞いてくれたけど、不安だったのか「今回は
行かない…」って。

楽しみにしていた潤は、すごく残念だったみたい。

でも潤も、和の気持ちも分かるから「ゆっくり
休んだ方がいいもんな」って優しく声を掛けて
くれてた。笑

そんなこんなで出発の朝…

和「楽しんできてね…？応援してる」

潤「ん！ありがとな」

吹っ切れたらしい潤が、張り切って出掛けて行く。

和も「ゲームしよ？」だの「キャッチボール
しよ？」だのって夕方まで元気に過ごして
いたんだけれど…

和「…っ、ん…、…るし、い…」

翔「…ちょっと待ってな…？」

また小発作を起こしかけて、苦しくてポロポロ
泣き出した。

翔「薬、入れてあげるから。頑張れる？」

和「…っ、…んばれ、な、い…」

「点滴は嫌だ」って、腕を掴もうとする手を
振り切って暴れる。

どんどん呼吸が乱れる和を見て、翔にぃは
「とりあえず落ち着かせてやって」って
傍を離れた。

「かず？大丈夫だから、深呼吸しよっか…」

和「…っ、…な、い…？」

「ん、しないって。大丈夫だよ」

『針は恐いもの』って認識が強いから、ギュッと
縋ってきて離れない。

そんな和を抱き締め返して、背中をさする。

苦しさと、発作の影響で熱くなってきた体を
少しでもラクにしてやりたい。

和「…ょ、いん、…かな、い…？」

「病院行かなくていい様にさ、少し落ち着こう？」

和「…ょ、いん、…きたく、な、い…」

「かず？落ち着くのが先だろ？」

和「…も、…ょ、いん…」

「…かず？」

和「…ん、ん…わかっ、た…」

今は潤もいないし、ただでさえ不安定な状態
だから。

これ以上の悪化は避けてやりたい。

しがみ付いてた状態から、少しずつ体制を
変えさせて、腕の中にゆったり収まるように
していく。

智にぃがジュースを持ってきてくれたり、翔にぃが
汗と涙を拭いてくれたりしているうちに
だいぶ落ち着いてきた。

翔「そのまま、ゆっくり呼吸してて…
嫌なこと何にもしないなら。な？」

和「…ん…」

聴診器を当てられても頑張って耐えてくれてる。

同じタイミングで潤が苦しんでたこと
俺らは知らなかった。