1888.【3】 ページ38
［翔にぃside］
点滴中に目覚めて
しまったことはマイナス。
だけど不安でいっぱいだった潤が「かず！！
よかった…」ってポロポロ泣いて声を掛けたから
和はそっちに気を取られてくれた。
智「よかったね…心配してたんだよね」
潤「…っん、んっ、よかっ、た…」
和は倒れた時のこと、頭を打った時の記憶を
なくしてる。
だから「…ん？」って表情をしてるけど
「ごめんね…」って優しく声を掛けながら
潤の頭を撫でてくれた。
こういうとこ、おにーちゃんだよな。笑
でも…
和「…っや、しない…」
CT検査を拒否して泣く頃には、おにーちゃんの
姿はなくなった。笑
潤に「大丈夫だよ。見てるから」って
励まされながら涙を拭かれてる。
「心配だからさ…？頑張ってこよう？」
和「…っ、やだっ、…いかない」
手を掴んだら、すごい勢いで振り払われ…
和「…っ、…とにぃ…」
智にぃにしがみ付いた。
ゆっくりと背中をさすってもらい、説得を
試みられてるけど…笑
和「…んーん。…いかない…」
やっぱり拒否。
智「かず…？もう頭は痛くないの…？」
和「…たい、いたい、けど…」
智「痛いけど？」
和「…かない」
智「ふふ。大丈夫。できるでしょ…？」
検査室への移動を拒否してるから
智にぃにしがみ付いて剥がれない。笑
雅「かーずちゃん？頑張ったらハンバーグ
作ってあげる」
和「…」
雅「夕飯に食べよう？」
正直「ハンバーグで釣られるか？笑」って
思ったけど、そう言えば一昨日「ハンバーグ
食べたい」って言って却下されて拗ねてたなって。
和「…」
雅「ん…？ハンバーグ食べない？」
和「たべる…」
雅「ん。じゃあ、検査頑張る？」
和「…」
雅「頑張る？」
和「…ん」
雅「よっしゃ！！」
和「…ふふ」
この状況で笑顔まで引き出せるんだから
やっぱり雅紀はすごい！
智「ここで見てるからねぇ」
和「…ん、ばいばい…」
検査室の入り口まで、みんなに見送ってもらって
俺と2人で検査室の中へ。
車椅子から降ろして、台の上に寝せようとしたら
「…こわい」って胸元を掴んでくる。
「大丈夫。ちゃんと傍で見てるし、
途中で話し掛けるから。な？」
和「…っ、でも、ひと、り、こわ、い…」
胸元を掴む手にギュッと力を入れて
フルフルと首を振る和を見ていると
胸がギュッと苦しくなる。
俺には想像できないような恐怖心なんだろうな…
って思うから。
でもね、和。
和は一人じゃないんだよ…？
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
