1876.【6】 ページ26
［和side］
まさか歯磨きが
出来なくなるとは思わなかった…
だけど歯ブラシそのものが恐くなってしまったら
歯磨きなんてとても出来なくて。
でもね、優しくサポートしてくる、にぃ達と
潤のお陰で、何とか磨いてもらえるように
なったんだ。
恐くて恐くて、手が震えてしまうから
まだ自分では磨けない。
それでも「おいで？」って呼ばれれば
自分から磨いてもらいにいける。
翔「…かず？泣かなくても大丈夫」
翔にぃに声を掛けられて、自分の目から
涙が零れていたことに気が付く。
「…っ、勝手に、涙、でちゃ、う…」
翔「そっか、そっか。でも、大丈夫…」
背中をポンポンとしてもらって
それからラグに寝転ぶ。
「…っん、…りたく、な、い…」
翔「ん、やりたくないね。でも自分で来れて
えらいな…」
頭をポンポンして落ち着くまで待ってくれる
翔にぃ。
翔「今日もすぐ磨いちゃうから。大丈夫だから」
「ん、んっ…」
泣きたくないのに自然と涙が溢れてきて…
智「恐いのないもんね」
「…ん、…っ、ないっ…」
雅「翔にぃ磨いてくれるから安心だもんね〜」
「んっ…、でき、る…」
みんな口を揃えて「えらい、えらい」って。
こんなに甘やかされていいのかな。笑
［翔にぃside］
自分から磨いてもらいにこれるようになった和。
だけど、まだまだ恐怖心との葛藤は
あるみたいで…
涙を零しながら頑張ってる。
口も震えてるし、手も何度も口元に
延びそうになるけど…
和「…っん、ん、んっ…」
智「だいじょーぶ」
雅「かず…上手だね」
励まされれば頑張ろうとする。
潤も手を握ったり、涙を拭いたりしながら
「恐くないからな」って何度も何度も
声を掛けてくれて…
和「…んっ、…んば、る…」
「ん、もう頑張ってるから…十分。」
頭を撫でてやったら、苦しい中でも
小さな笑顔を見せてくれて…
もうね、十分だよ。
和はほんとに頑張ってくれてる。
だから、少しでいい…ラクにしてやりたい。
「おしまい。えらかったな…？」
和「…っ、んっ…、…おし、まい…」
震える手をそっと包み込んだら、和は歯ブラシを
持ってる俺の手を握る。
ポロポロ泣きながら「翔にぃの手は恐くない」
「ありがとう」って笑うんだ。
少しずつでいいから克服させてやりたい。
余計な負担は減らしてやりたい。
でも、そんな中で…和は周りの人達の
優しさや温かさに包まれる。
そして和は、それに気が付ける人になった…
少しずつ克服しような。
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
