1875.【5】 ページ25
［雅にぃside］
クリーナーが終わるまでは
大泣きの和。
だけど終わった瞬間に落ち着いて
宥める相手にピタッとくっ付いて呼吸を
整えてくれる。
今日の宥め役は俺。
胸元にギュッと顔を押し付けてくるから抱き締めて
ヒックヒックと忙しなく動く背中をゆっくりと
さする。
和「…っ、んっ…ん…」
「おしまいね…えらかったね」
偉いも何も、どんなに嫌がっても3人に抑制されて
やられてるんだけど…
でもやっぱり「えらかったね」って伝えたいんだ。
こいつには、そう言いたくなる。笑
そろそろ歯ブラシに切り替えたいから
和の前で歯磨きをする俺ら。
最初は「嫌だ」って見るのを嫌がっていたけど
今は一緒にゲームしている潤が隣で磨いていても
「きゃはっ！」って笑えるほどに。
翔「やってみよっかな…」
だから少しずつ歯ブラシに移行してみることに…
和「…っん、…ない、ないっ…」
だけど…
クリーナーの後に歯ブラシを取り出せば
パニック寸前。
翔「当てるだけ。な？一瞬だけ…」
和「…っ、んっ…げほっ…」
何とか口元に持っていこうとして、さらに力の
入った手を抑える。
翔にぃが和の歯に歯ブラシを当てて「おしまい」
って言うまで、ほんの数秒。
だけど和にとっては恐怖の時間でしかなくて…
そんなんだけど、これを少しずつ繰り返して
『歯ブラシは安全』って伝えてやるしかない。
始めの数日は無理矢理にやることで悪化したかに
見えた恐怖症。
でも、繰り返していくうちに和は少しずつ
歯ブラシを信じてくれるようになった。
翔「おいで…？」
和「ん…5だけ…」
翔「ん。5だけ頑張ろうな」
和「…ん」
翔にぃの足の間に、自分から寝転ぶ。
どのタイミングでパニックを起こすか
分からないから、抑制は必要。
また歯科検診の時みたいになったら、危険だし
恐怖心が植えつけられちゃうから…
翔「5だけだから動かないよ？」
和「…ん、…がん、ばる…」
翔にぃは足でしっかり和の頭を挟んで固定。
俺も手を握って、智にぃは足を軽く固定。
和「…っ、ん…んっ…」
みんなで5まで数えている間、和は泣きながらも
頑張ってくれる。
歯に歯ブラシを当てることが目的だから
口を閉じていても開けていても気にしない。
ただ…
翔「あ、噛んだ。笑」
歯ブラシを噛まれてしまっては困る。笑
翔「かーず…？」
無意識に噛んでいることが多いから、刺激せずに
ゆっくり声を掛ければ自然と力が抜ける。
翔「そうそう。…あー？」
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
