1894.【5】 ページ44
［翔にぃside］
智にぃが入院して数日。
体内に入った菌の特定も出来て
24時間の点滴が続いてるけど、それなりに元気。
熱も平熱に戻りつつあるし、本人が言うには
怠さも解消されたらしい。
毎朝の尿検査と血液検査は続くけどね。
和「ふふ…これとこれ〜」
智「なかなかいいねぇ〜」
和は学校の時間以外は、智にぃのベッドに
乗っかってる。笑
今も、智にぃのデザイン画をipadで見ながら
打ち合わせ中みたい。
この2人が揃うと、時間がゆっくり
流れるんだもん。
笑っちゃう。
和「そろそろ夕飯運ばれてくるよねっ？」
智「ん、そうだね〜」
和「持ってくる！」
智「ふふ…ありがとう」
普通ならここで「少しは運動した方がいいから
自分で取ってきて」って言うのが、医者の常套句
なんだけど。笑
俺も担当患者や和に、幾度となく使ってきた。
でも今回は「頼むね」って伝える。
だって智にぃは、和に付き合って散歩三昧。
屋上に中庭に売店に…
先輩にも「歩かせ過ぎじゃないか？笑」って
言われてしまったくらいだから。
智にぃに「車椅子も使って？」ってお願い
してみたものの「え〜…病人みたいで嫌だ」って
拒否されて。笑
病人のくせに…
でもね、この2人ほんと楽しそう。笑
和「ねぇねぇ、お魚あったよ！よかったね〜」
智「ふふ♪ おいしそ〜」
コップにお茶を注いで夕食の準備をしていると
「ただいま〜」って雅紀と潤が合流。
智にぃが入院中、俺や雅紀が夕飯を作って
お弁当箱に詰めておく。
そうすると、こうして病室でみんなで
食べられるから…
潤「俺も智にぃと食べる！」
智「こっち側おいで〜」
和「おいで〜」
テーブルを挟んで智にぃと向かい合うように
座った双子。
狭そうに見えるけど、本人達が幸せそうだから
雅紀と顔を見合わせて笑い合う。
智「魚あげる。鮭美味しいから」
和「やった！じゃあ、お返し♪ 」
潤「俺もお返し〜」
智「ふふ…ありがとう」
和潤「ふふっ♪ 」
子どもの遠足を見ているみたい。
「きゃははは！」
「くふふっ」
笑い声が響く病室で5人だけの楽しい時間を過ごす。
でも、こうなってくると辛くなるのは
家に帰らなきゃいけない時間。
和はきまって「泊まっていきたい」って
駄々を捏ねるし、この時ばかりは潤も
「まだ時間あるじゃん」って聞き分けが悪くて。
智「今日はみんなで帰りな？
また明日、待ってるから」
和「むぅ…」
智「そんな顔しないの。笑」
智にぃが笑顔で背中を押してくれた。
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
