1892.【3】 ページ42
［翔にぃside］
雅紀と双子が出ていった
ドアを見つめてボーッとしている智にぃ。
「智にぃも寝よう？午前中から検査しないと
いけないし」
智「…ん」
「ねぇねぇ、後ろの担当医プレート見て？」
智「…へっ？」
「いいから、見て？笑」
智「…あ、翔先生だ…ふふ…」
やっと笑ってくれたね…
「担当医させて頂きますね。笑」
智「ふふ。ありがとう…」
入院患者の担当はしないって決めてるけど
智にぃは別。
俺が責任持って元気にしてみせる。
「まずは朝までしっかり眠ろう？ね？」
智「ん。ありがとう」
寝転んだ智にぃの首元まで布団をずり上げる。
確かに智にぃが入院になってしまったら不安だし
家のこととかも大変になるけど…
「元気になって帰ろうね」
智「ん…」
それが一番。
今は何も考えずに『元気になること』だけを
目指して頑張ってもらいたいから。
胸元をさすっていたらスーッと眠りに
堕ちてくれた智にぃ。
仮眠を取りながら何度か覗きにきたけど
よく眠れていたから安心。
明け方にシャワーを浴びて、検査プランを
立ててから回診に向かう。
「智く〜ん？翔先生の回診ですよ〜。笑」って
ふざけながらベッドに近付く。
［智にぃside］
正直、落ち込んだけど…
みんなの優しさを受け取って、一晩寝たら
何だかスッキリした。
翔「智く〜ん？翔先生の回診ですよ〜。笑」
「ふふ…やめてよ。笑」
やっぱり翔から『智くん』って呼ばれるのは
何だか恥ずかしい。
翔「やっぱり、ちょっとだけ熱あるね」
あっという間に熱を計られ、血圧が測られる。
手際の良さはピカイチだね。
翔「実際さ…？どれくらい前から
調子悪かったの？」
「…」
聴診器を当てられながら質問されるけど
上手く返せない。
俺の答えによって、翔が叱ろうとしてるわけでは
ないことは分かるんだけど…
翔「…怠かったりした？」
「…」
翔「…微熱とか？」
「…」
翔「…笑」
やっぱり逃げてしまう自分がいる。
目を瞑って聞こえないふり。
前と同じ手口に、翔は「はは！」って笑って
「後で問診票持ってくるから書いてね？」って。
頭をポンポンとされて何か弟みたいだなぁ…って。
翔「たまにはいいよ。智にぃはいつも長男
してくれてるから」
「…何も言ってないのに。よく分かるね…笑」
翔「そりゃあね。ずっと智にぃの弟してるもん」
「ふふ…」
それから、目を閉じたまま血液検査を受けた。
毎朝やらないといけないみたいだけど
翔は上手だから…
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
