1408.【3】 ページ8
［雅にぃside］
スーパーに
向かう途中は元気が
なかった潤だけどスーパーに着いてからは
「これなら、和も食べられるかな？」「これ、
好きだよね？」って。
和のことばっかりだけど、目をキラキラさせて
一生懸命カゴに入れてる。
「ありがとね、潤。少しずつ食べてもらおうね」
潤「うんっ！」
色々と思うことはあるだろうけど、気持ちを
強く持つことも大切だもんね。
潤だけじゃなく俺らもね…
玄関を開けてすぐ、聞こえてくるのは和の
泣く声…
「起きたみたいだね…」
潤「ん…、いっていい？」
「ん、いこっか」
そっと部屋を覗いてみたら、上体をベッドから
起こそうとしながら泣いてる和。
「降りたがってるの？」
智「あ、おかえり…。ん、引っ張っちゃうし
降りたがるし…」
智にぃは上体を抑え込んで、翔にぃは両手首を
掴んでる。
智「声掛けてやってくれる？」
「…ん。」
俺は潤の肩を抱いて和の傍に座らせてもらう。
「かず…？なに？」
和「…んっ、ん…」
「点滴はとらないよ？」
右手をギュッギュッと引いたから、点滴が
嫌だって訴えたのかなって思って。
要求が通らなくてイライラするのか
しばらくは、さらにバタバタ抵抗して泣いてた
和だけど…
和「…っ、ん、…ら、…っ、ん、し…」
「ん？なに…？」
少し経ったら口を小さく動かして何かを
伝えてきた。
和「…っん、…ら、…ん、っ、…」
「あらし？抱っこしたいの？」
和「…っ、ん」
頷く和を見た潤が「俺が連れてくる！」って
真っ先に部屋を飛び出していった。
「よかったね、かず。でも、にぃ達と約束して
それから抱っこしようね？」
涙をポンポン拭いてあげて翔にぃと
バトンタッチ。
翔「かず？約束は2つだけな？」
和「…っ」
翔「点滴は触らないこと」
和「ん…」
翔「ベッドから降りないこと」
和「んっ…」
翔「守れる？」
和「ん…」
翔「返事は？」
溢れてきた涙をもう一度拭ってもらってから
「…はい」って返事をした和。
潤はドアの前で待っててくれたんだろうね…
返事と同時に「かずっ！」って走ってきて
お腹の上に、あらしをそっとおろしてくれた。
和は「おさんぽ、ごめんね…」って
あらしを撫でながら謝ってる。
俺らが順番で連れて行ってるんだけどね、
俺は感じるんだ…
あらしは普段より早歩きで落ち着かない。
和を家に残してきてること気になっているんじゃ
ないかなって。
でもさ、和が元気になって連れて行って
もらえるまで待ってるよ。
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作者名：空
| 作成日時：2014年6月15日 16時
