1446.【5】 ページ46
［雅にぃside］
モモを自宅に連れて
帰ってくるようになって
10日が過ぎた。
母猿の容態も安定してきて、順調に回復に
向かっている。
俺も、夜中のミルクあげや夜鳴きに慣れてきた。
ピピピピピピ…
小さなアラーム音で2時間おきに目覚めて
ミルクを与える。
キッチンでミルクを作ってベッドに戻る。
「お腹空いたね〜、お待たせ…」
哺乳瓶を近付けようとしたらガチャッとドアが
開いて、和が顔を出した。
「あ、ごめん…起こしちゃった？」
和「んーん。見ててもいい？」
「キーキーキー」
「ん、いいよ。ここ、おいで？」
俺がベッドをポンポンしたら「んふふ」って
ちょっと照れて笑った和がやってくる。
「あげる？」
和「いいの？やりたい！！」
「キーキーキー」
和「ふふっ、お待たせ…」
俺からモモを受け取った和は、待ち切れずに
鳴いているモモの口元に哺乳瓶を近付ける。
チューチュー…
すぐに安定した音が聞こえてきて。
和「んふふ…すごいね」
「ん、そうだね」
モモを見つめる和の眼差しは大切なものに
向けられる優しさで溢れてる。
「大事にしてくれて、ありがとね…」
和「くふふっ、きゃは！」
俺が守りたかったものを一緒に守ってくれる
人がいる。
それはすごく幸せなことだって思うんだ…
［和side］
ベッドに座ってモモを抱っこしてる俺の肩を
雅にぃがそっと抱き寄せて「ありがとね」って
優しく笑う。
それからバインダーにくっ付いた表に
ミルクを飲ませた時間と量を記録して。
雅にぃって「まぁ、いっか！」って
適当に済ませてるイメージだけど…笑
実際は全然そんなことなくて。
モモの細かい変化も見逃さずに、24時間ちゃんと
見守って傍にいる。
大変でも寝不足でもイライラすることもなく…
「雅にぃ？」
雅「ん？なに？」
モモと自分が重なるんだ…
「命を守るのって、大変な仕事…だね」
突然の俺の言葉に雅にぃは「急になに〜？笑」
って茶化しながらも優しく笑う。
雅「大変だけど、やり甲斐があるよ？
それにね、与えるだけじゃない。」
「どういうこと…？」
雅「ん〜…、俺はモモに色んなこと教えて
もらってるから。頑張る力の傍に居られるって
幸せなことだと思うんだ…」
頑張る力…
雅「きゃは！難しいことじゃないよ！笑」
雅にぃは「和はいつも持ってるじゃん！」って
笑って頭を撫でてくれた。
雅「まわって、まわって自分に戻ってくるんだ…
俺はそう思ってる」
なるほど…
END
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作者名：空
| 作成日時：2014年6月15日 16時
