1429.【5】 ページ29
［智にぃside］
『ぎゃ〜！！』
明け方に、和の叫び声で
目が覚めた。
部屋に駆け込んだら、雅紀の腕の中で
和が反り返って泣き叫んでいて…
翔「どしたっ？」
潤「かず…？」
雅「…んっ、…目が覚めたら、お腹の上で
すごい、汗かいて震えてて。そんで声掛けたら
パニックに、なって…」
翔に問われた雅紀まで呼吸を乱しそうになる…
「頼んでいい…？」
翔「ん。おいで、まさき…」
雅「…っ、ん…、…めんな、さ、いっ…」
翔は「んーん」って言いながら、雅紀を
腕の中にしっかり抱きしめてくれた。
和「ぎゃー」
ゴンッ…
俺の手を振り切った和が、反り返ってベッドの
柵に頭をぶつけた…
潤「…っ、やーだー…」
潤が泣きながら和に手をのばす。
和「ぎゃー」
潤「…っ、ず、やーだー…」
潤も色々不安だったんだよね…
それが爆発してしまった…
いつもだったらパニックの和には無理矢理に
何かをしたりはしないのに、今日は腕を引いて
起き上がらせようと必死。
「じゅん、まって？こっち、きて？」
とりあえず潤を落ち着かせないことには、和が
落ち着けないから。
ちょっと強引に手を引いてベッドの下に
降ろしてしまう。
和「ぎゃー、…なない、…なないっ！」
和に雅紀のことを任せるのは負担が大き過ぎ
だったかな…
「死なない」って叫んでパニックの和を見て
反省する。
タイミングを見て落ち着かせてやりたいけど
今度は「いなくならない」「ずっといたい」って
繰り返して腕をベッドの柵にぶつけ始めた…
潤「…っ、かーずー、やー」
和「ぎゃー」
ベッドの下で俺に腕を掴まれた潤が泣き叫んで
その興奮が和にも伝わる…
どう考えても悪循環だ。
どうしよう…
俺まで気がおかしくなりそうでギュッと
目を閉じようとしたら、聞こえてきたのは
雅紀の優しい声。
雅「…かず、おいで。ほら、こっち…」
さっきまで取り乱していた雅紀が…？
信じられない気持ちもあって視線を移せば
そこには、しっかりと和を見つめる雅紀がいた。
雅「かず…？だいじょうぶ…」
ゆっくりと何度も呼び掛けて和が動くのを
待ってくれる。
そんな雅紀の様子を見ていた翔が「大丈夫
だね」って頷いて潤の元へ…
翔「じゅん？おいで。ビックリしたな…」
潤「…ず、かず、がっ、…わい、そう…」
翔「ん。でも雅紀がいてくれるから。な？」
潤「…っ、んっ、ん…」
翔の腕の中におさまった潤は「かず」って
繰り返しながらも落ち着いてきた。
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作者名：空
| 作成日時：2014年6月15日 16時
