1031.【31】 ページ31
［和side］
寝てたら感じた尿意…
智にぃを起こして
車椅子に移動してトイレまで。
「出たい」って感じてからだと、脱ぐのに
手間取ったりして間に合わない。
案の定、トイレに入って脱いでる途中で
漏れてきてしまう…
止める力も弱くなってるから
漏れ始めたら止められなくて…
こんなことなら素直にオムツに出た方が
マシだった。
そう思ったけどもう遅い…
なかなか言えない「やって？」「手伝って？」
「助けて」って言葉。
ポロポロと涙が流れてほっぺを濡らす。
智にぃにバレちゃうって思うんだけど
ヒックヒックって音が、トイレに響く…
智「…かず？」
夜中の静けさの中、智にぃの優しい声が
耳に届く…
智「…かず、開けて？」
智にぃは、俺が「助けて」って言わなくても
ちゃんと分かってくれてる。
カチャ…
鍵を開けてすぐ「何も言わなくていいから…」
って抱きしめてくれて。
「…た、また、やっちゃ、っ、た…」
智「ん、いいから…」
全てを受け止めてくれる智にぃの優しさが
嬉しい。
素直に甘えられたら…
素直に頼れたら…
どんなにラクになれるのかって思う。
［智にぃside］
翔が「念の為」って着替え一式を
車椅子にぶら下げてくれてて。
それを袋から出して和に持たせる。
和が、ポロポロ泣きながら「自分で」って
繰り返すから。
ホットタオルも持たせて任せることにした。
和「…っ、ド、アしめ、て…？」
「うん、閉めようね。」
こんなボロボロの和を一人にするのは
気が引けるけど…
ドアを閉めて待機しながら翔にメールを入れる。
「病室に戻ってから様子見にいくね」って
返信がきて。
カチャ…
結局、20分以上経ってから出てきた和。
「お疲れさま。戻ろうね…」
和「…ん」
疲れもあるだろうけど、シュンと俯いたまま
顔も上げなくて。
ベッドに戻したらすぐに寝息を立て始める。
翔「どう…？」
そっと覗きにきてくれた翔は、頭を優しく
撫でてやってる。
翔の立場も辛いんだよね…
でも和は一度だって翔のこと「嫌い」って
言ったことない。
心から信頼できる唯一のお医者さんで
お兄ちゃんだから。
「ちょっと傍にいてやって？」
そう言ったらコクンと頷いて手を握って…
優しい目で和を見つめてる…
「和の体のことは翔に任せてるから。ね…？」
翔「うん」
「和も俺らも認めたのが翔先生だから
自信もってね？」
翔「うん」
和が上手く甘えられないのは翔に似たのかな？笑
俺はギュッと翔を抱き寄せた…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 518人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2013年11月10日 23時
