1021.【21】 ページ21
［智にぃside］
「ゼリーよりプリンのが
よかったかなぁ。」なんて
話しながらガラッと開けた病室のドア。
目の前に広がった光景を疑いたくなる…
濡れた床の上で、濡れたパジャマを着て
座って泣いている和。
放心状態なのか俺らにも気が付かなくて…
「ごめん、潤。ちょっと待っててくれる？」
俺は動揺する潤をソファーに座らせて
すぐに和を抱きしめる。
「一人にしてごめんね…、かず…」
和は声を出すことも出来ずに
ただただポロポロ泣いて、悔しそうに
両手をギュッと握ってる。
「…怪我はない？」
和「…ない、で…」
目を真っ赤にさせて俯いたまま呟く和。
何度も「見ないで」「出てって」って
繰り返す。
俺がいくら「気にすることじゃない」
「大丈夫」って声を掛けても首を振るばかりで…
そのうちに和の携帯に翔から電話が
かかってきた。
「着信あったけど、どした〜？」って。
すぐにきて欲しいって伝えて翔の到着を待つ。
だけど、翔に見られるのは
さらに恥ずかしいのか…
和「…ないで！」
翔「かず…？」
和「こない、で…」
泣きながら怒って叫ぶ。
翔は和のすぐ傍にしゃがんで「このままじゃ
風邪引くから。着替えよう？な？」って。
和は翔の手を振り払って首を振る。
翔「智にぃに手伝ってもらう？俺ら出て
ようか？」
和「…んな、でて、って」
翔を睨みながら一言呟く和。
だけど、みんな居なくなったら着替えなんて
出来ないから…
「俺残って着替えさせておくから」
翔「ん。頼みます。」
翔は笑顔を見せてくれた後、洗面器にお湯を
入れてきてくれて。
潤の手を引いて一旦病室を出ていった。
「かず？着替えようね…」
和「…いって、言って、んだろ。」
「でも、ずっとこのままってわけには
いかないでしょ？」
和「…」
抵抗してこなくなったから、まずは着替え
させる事に集中する。
後でしっかりフォローもしなきゃだけど、
このままじゃ気持ちも悪いだろうし。
上のパジャマを脱がせて体をバスタオルで包む。
そのまま上半身をベッドに寄りかからせて
ズボンを脱がせていく。
さっきまでと違って、今度は全く
抵抗してこない。
一点を見つめたまま、ただボーッとしていて…
濡れた体を綺麗に拭いて、バスタオルを掛けて
ベッドに座らせる。
足と床も綺麗に拭いて一先ず完了。
翔が用意してくれた下着とパジャマを着せて
ベッドに寝せてやる。
「どっか痛いところある？」
和「…」
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作者名：空
| 作成日時：2013年11月10日 23時
