5人で生きてゆく…part21 (ページ12)

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［翔にぃside］

ほんと、ずる賢い奴。笑

「先生、心配してたよ？
具合悪そうでした。って。」

こいつのどこが具合悪いんだよ…まったく。

「澤先生のこと好きなんだろ？
だったら心配掛けるのはやめなさい。」

和「…ん」

和のことを大事にしてくれる先生。

自分に惜しみない愛情を注いでくれてるって
気が付いてから、和は澤先生を信頼してる。

「明日の治療の時に謝りなさい。いいね？」

和「…はい」

「次はないからね？」

和「…はい」

潤んだ目を隠すようにベッドに移動して
布団を被ってしまった和。

雅「…どうする？笑」

苦笑いの雅紀。

「ん…傍に居てやって？」

雅「あひゃ、了解！！」

俺はさ、雅紀のこの笑顔に何度も助けられた。

厳しくし過ぎたかなって時も
その笑顔のお蔭で乗り越えることが出来てる。

和もそうだと思う。

だからさ、ずっと笑ってて欲しい。

そんな気持ちを込めて「まさき、ありがとな？」
って呟いて、足早に病室を出る。

恥ずかしくて、その場にはいられないから。笑

一方の和も、翌日きちんと治療に行って
「先生、ごめんなさい」って謝ったって。

智にぃ情報ね。笑

幸い、放射線の副作用が出ていない和は
ご飯もよく食べてるし、散歩にいく元気も。

ついでに言うと、脱走する体力も十分にある。

智「ごめん、見失った…」

息を切らした智にぃからヘルプの電話。

すぐに合流する。

智「売店までは一緒だったんだけど…
ほんと、ごめん。」

「いや、ずっと捕まえとくわけには
いかないから仕方ないよ。笑」

むしろ、そうしたいところだけどね。

でも今回の入院では、和が一人で院内を
ウロウロしてたら、すぐに俺に連絡ってのが
スタッフの間での共通理解だから。笑

今日も看護師からすぐに連絡が入った。

和くんの負けです。笑

どうやら今日は消化器内科の先生に
会いに行ったらしい。

看「翔先生に連絡したから、戻ろうね～。」

和「余計なことすんなっ！たいちゃんに
会いにきただけだもん…、離せっ！」

看「今ね、診察中みたいだから後で
翔先生とおいで？」

和「ん～…離せやっ！」

どんだけ駄々っ子な患者だよ？笑

兄貴としては、ほんと申し訳なくて仕方ない…

「和！！」

看「あっ…」

思わず怒鳴ったら逃げられた…笑

看護師が「すみません…」って頭を
下げてくる。

いやいや…こっちが全面的にすみません…笑

そう思いながら智にぃと謝罪して
お礼して、和の捜索に向かう。