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［智にぃside］
和「ぎゃー」
風呂場から聞こえてきた
和の叫び声。
急いで駆けつけると和が風呂場のドアを
バンバン叩いてる。
「どした？開けるよ？」
翔「待って、抑えるから」
和「ぎゃー」
翔がドアから和を引き剥がしたのを確認して
風呂場に入る。
翔の腕の中の和はシャンプーだらけの顔で
叫んでもがいてる…
翔「ごめん、俺が検査のこと
話そうとしたから。シャンプー流したら
連れ出してやって？」
辛そうな表情だけど、しっかり俺に
伝えられる翔は、前より強くなった気がした。
ほんとなら、このまま出してやりたいけど
さすがに無理だ。
「口に入っちゃうな…」
もう周りのことなど関係なしの和は
大きな口を開けて、ひたすら泣き叫ぶ。
翔「かず、ちょっとごめんな…」
翔は和を抱え直すと、頭を下に向けて
抑えた。
和「やだ、やだー、やー」
何も見えず抑え込まれる状態は
今の和にとって相当なダメージだ…
何をされるか分からない恐怖から
和は叫んで暴れ続ける。
俺らがいくら「流すだけだよ」って言っても
そんなのは通用しない…
「よし、いいか。後は顔だけね」
今度は顔を上げさせて流す。
口もとを手で覆ってやろうとするけど
和は顔を振って逃れようとする…
翔は暴れてのびてくる手を抑え込むのに
必死だ。
「ごめんね、かず。ちょっと我慢ね」
最終的には、口を覆った手は
気休め程度にしかならず…
和はゴホゴホむせ込んでしまった。
雅「受けとるよ？出して？」
外でバスタオルを広げて待機してた
雅紀に和を渡す。
というより、和は自分で助けを求めて
しがみ付いていった…
雅「よしよし。風邪ひくから、
温かくしよーね。」
雅紀は和を抱きしめたまま、
近くに置いてあるバスタオルで和を軽く拭いて
抱き上げた。
雅「リビングいってるね。
大丈夫そうだから、智にぃもついでに
お風呂済ませてきちゃえば？」
確かにパニックはおさまった様だ。
翔の話も聞きたいし、服もビショビショだし…
俺は雅紀に「任せるわ！」って一言掛けて
翔と一緒にお風呂に浸かった。
翔「ごめん、俺、焦った…」
全部話し終えた翔は潤んだ目を隠す様に
バシャバシャと顔に水を掛ける。
翔はその後も「俺、ほんとバカ」って
落ち込んでたけど
風呂から上がって、落ち着いてる和を見たら
ホッとしたみたいで笑顔になった。
和も「翔にぃ、ここきて？」って
甘えてるしね。笑
何が正解か分からないもん。
5人で手探りで
ゆっくり頑張ろうね…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
