19.【4】 ページ19
［智にぃside］
和「ぎゃー」
芝生で反り返って
泣き叫ぶ和。
先「ごめん、ごめん。」
カ「一旦、引き上げるね」
手がつけられなくなった和を見て、
先生とカウンセラーは、この場を離れた。
翔「かず、ごめんね。嫌だったね」
和「やー…えるー」
抱きしめた翔に、縋るようにしがみ付く
和の怖がり方は尋常じゃない…
翔「ゆっくり呼吸して？
苦しくなっちゃうから…」
翔の胸にピタッとくっついて
早くて浅い呼吸を繰り返す和を心配して、
翔が声を掛けながら深呼吸を促す…
翔「ちょっと落ち着いた？」
和「…ん。…える」
翔「俺の友達怖かった？」
和「…えりたい。かえる…」
翔の質問にも答えない和は顔を上げることすら
出来なくなくなってしまって…
俯いたまま「かえる」「かえりたい」って
呟いている。
翔「俺のね、友達は和の味方だよ？
和のこと、助けてくれようとしてるよ？」
和「…や。…らない人、いい。」
知らない人…か。
和？そんなこといったら
周りは知らない人だらけだよ？
これから、どーやって乗り越えていくの？
俺の頭の中を言いようのない不安が
埋めつくす…
和「…える。おうち…かえり、たい…」
翔「挨拶してからね。お顔だけ見てから。」
和「んーん…みない…こ、わい…」
翔「じゃあ、帰れない。」
和「…」
翔にきっぱり言われてしまった和は
ポロポロ泣いて、翔を見上げた。
その目は「なんで、そんな、
意地悪いうの？」って訴えてる。
それでも翔は譲らない…
翔「泣いてもいいよ。顔さえ見てくれれば。
それなら出来るでしょ？」
和「…ない」
翔「できるよ。和ならできる。」
和「…！！や、こわい…」
再び近付いてきた2人に和はパニック。
翔「だいじょーぶ。ほら、もう来ないよ」
先生もカウンセラーも少し離れた所で止まって
しゃがみ込んでくれた。
翔「かず、みて？」
翔の腕の中でブンブン首を振っていた和は
ゆっくりと顔を上げて翔を見た。
翔「ほら、俺の友達。優しそうだろ？」
翔は優しい口調で話し掛けて、
和の顔をそっと2人の方に向けてやった。
和「…」
体をガタガタ震わせて、涙も止まらなくなった
和だけど、じーっと2人を見つめている…
和に向かって、本当に優しく微笑んでくれる
先生とカウンセラーに感謝の気持ちで
いっぱいになる…
和「…みた。かえる…」
翔「はは。そうだな。約束だもんな」
マイペースな和に、翔は笑いながら応えると、
2人に向かって静かに頭を下げた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
