N side ページ10
トイレの前まで走っていると、
奥のメイク室の前に知り合いのメイクさんの姿。
女子トイレ覗いてもらおっかなって近づいていくと、
｢っあ、二宮さん、｣
先に気づいたその子がそっと歩み寄ってきた。
｢今あの……Aさんが、｣
言いにくそうに話してくれたその内容で、
────嫌な予感、的中かよ。
って全てを察した。
｢なんかびしょ濡れで来て、ドライヤー貸してくださいって…………
シャワー浴びたって言うんですけど服まで濡れてたんです…………｣
｢………はー……｣
思わず漏れたため息。
そんな古典的なことすんなよ…………
ていうか今のあいつにとっちゃ致命的よそんなの………
ちら、っと中を覗くと、
想像以上にやばい顔色で目をつぶって服にドライヤーをあてるそいつの姿。
髪とメイクはもうやったあとらしく、
あいつ俺らに何にも言わない気だったんだろうなって。
………………本当にバカなんだろうな、
頼るとか甘えるとかそういうの頭にないやつなんだろうな
さっき、Aがトイレに行ったあとに俺らに翔ちゃんからそっと伝えられたAのこと。
｢ほんとはあいつ39.8あるんだけどさ、｣
｢ええっ？！｣
ビックリして大声を出した相葉さんをみんなで止めた。
｢……その反応を目の前でされたらあいつもう何も言ってくれなくなると思って｣
小声でそういう翔ちゃんに、
ナイス判断、って肩を叩いた潤くん。
｢だから、何も知らないていで俺らは支えよう｣
そう言って、みんなを見る翔ちゃんの目がとっても頼もしくて。
悔しいなんて
またあいつのこと守ってるのは翔ちゃんだなんて
そんなことは少しも思わなかった。
｢………………なのにさ、｣
ドライヤーの音で、後ろにいる俺に全然気づかないAに呟く。
｢なんでお前は隠すんだよそうやって。
守ってやるって言ってんじゃん
黙って守られてりゃいーだろ｣
うーとかあーとか少しだけ聞こえる唸り声。
具合悪い時って声出したくなるよね。
わかる。
｢………………ばーか。ばーーーか。｣
まだ目をつぶったままなのをいいことに、
ドライヤーの音にかきけされることをいいことに。
｢………………………好きだばーか｣
恥ずかしげもなくそう呟いてしまった俺に、
おれ自身が驚く。
少女マンガか。
マンガ原作の安いラブ映画か。
もうつっこむしかない。
そうでもしないと、いまさら恥ずかしくなってきた俺の気持ちがもたない。
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ちぃ(プロフ) - おかえりなさい！長らく更新されてなかったので半分諦めつつも、素敵なお話しなので登録解除も出来ずにいましたが… 戻ってきて下さってありがとうございます！ 退職万歳＼(^o^)／ (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 038f602d6e (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメです！hiroさん戻ってきてくださって嬉しいです！！あと、退職おめでとうございます笑笑 お話の続き、楽しみにしております。気長に待っておりますので、ご自身のペースで更新なさってください！ (2021年9月20日 1時) (レス) id: c72bd2a0fb (このIDを非表示/違反報告)
∞横山あらしちゃん∞(プロフ) - 初めまして。この作品が大好き過ぎてずっと待っていました(´；ω；｀) これからも楽しみにしております！！ (2021年9月16日 23時) (レス) id: b6736fcc7a (このIDを非表示/違反報告)
ほしにゃあ(プロフ) - ここで更新終わりなのでしょうか…？続きが気になってしまいました…！主人公ちゃんの成長を見守りたいてす！ (2020年12月29日 3時) (レス) id: 5991f59eda (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - かずなさん» ひー！！！さっそく戻ってきていただけるなんて……………ありがとうございます(ToT) (2020年1月14日 19時) (レス) id: fea287eb7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hiro
| 作成日時：2019年7月19日 9時
