嘘 ページ11
｢なにやってんの｣
慌ててドライヤーのスイッチを切ると、
一言。
怒ってる風ではなくて、
軽く聞いてきた感じ。
｢……髪の毛くずれちゃったんで、ヘアセット直してて｣
我ながら上手い誤魔化しだって思ったのに、
二宮さんの顔は全然晴れない。
｢………まあいいや、行くよ｣
だけど何も聞かないでいてくれる。
────そんな優しさに甘えていたい、けど
｢もう少しかかるんで先戻ってくださ、｣
｢やだ。｣
さっきまでの優しさはどこへ、な早さで私の言葉を遮ると、
スタスタ歩いて私の隣に座る。
｢いやあの、ほんとに一人で戻れますから｣
さっきの今で万が一誰かに見られたら、
それで万が一何かの噂になってしまったら
…………彼女さんが、
言えない。
そもそも私が知ってることは知らせちゃいけない。
｢…………｣
頭のなかで一人で考え込む私の横顔を見ていたらしい二宮さんと目が合う。
口を少しだけ尖らせて何を言うでもなく私を見る目は憂いを帯びていて
…………何も言えなくなる。
どうしてそんな顔するの
どうして私なんかにそんなに構うの
そんなたくさんの疑問たちは、
｢…………どうして俺らを頼らないの｣
二宮さんの呟きに全てさらわれた。
｢え………？｣
｢そんなに頼りない？信用できない？
あ、そもそも嫌い？うざい？｣
｢え、や………｣
いきなり早口で捲し立てられて、頭がついていけなくなる。
目を白黒させる私を見ながら、
ねえ、なんで？
子どもが大人に純粋に質問するみたいに聞くその目に、私は
｢………………嫌い、なんです｣
真っ黒な嘘をついた。
────もうそうするしかない
────だって私はあなたたちと仲良くできない
私は嵐の悪者役なんだろうから
だってそうでしょ？
嵐を応援しているすべての人からしたら、
私は泥棒猫。
それならいっそ悪役になったらいいんでしょ？
メンバーとも仲良くしない
汚いところを全部私が背負って
そうしないと私はここで生きていけないんでしょ？
｢っ、もう、構わないでくださいっ、｣
もう残り少ない力を振り絞ってそう伝えると、
何も言わない二宮さんを置いてメイク室を飛び出した。
｢─………………っ、｣
熱のせい。体調が悪いせい
流れる涙を全部体調のせいにして、
もう一度トイレで涙を拭いて前室までの道を歩いた。
…………………悪役になろう、と心に決めて。
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ちぃ(プロフ) - おかえりなさい！長らく更新されてなかったので半分諦めつつも、素敵なお話しなので登録解除も出来ずにいましたが… 戻ってきて下さってありがとうございます！ 退職万歳＼(^o^)／ (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 038f602d6e (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメです！hiroさん戻ってきてくださって嬉しいです！！あと、退職おめでとうございます笑笑 お話の続き、楽しみにしております。気長に待っておりますので、ご自身のペースで更新なさってください！ (2021年9月20日 1時) (レス) id: c72bd2a0fb (このIDを非表示/違反報告)
∞横山あらしちゃん∞(プロフ) - 初めまして。この作品が大好き過ぎてずっと待っていました(´；ω；｀) これからも楽しみにしております！！ (2021年9月16日 23時) (レス) id: b6736fcc7a (このIDを非表示/違反報告)
ほしにゃあ(プロフ) - ここで更新終わりなのでしょうか…？続きが気になってしまいました…！主人公ちゃんの成長を見守りたいてす！ (2020年12月29日 3時) (レス) id: 5991f59eda (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - かずなさん» ひー！！！さっそく戻ってきていただけるなんて……………ありがとうございます(ToT) (2020年1月14日 19時) (レス) id: fea287eb7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hiro
| 作成日時：2019年7月19日 9時
