終わり良ければ全て良し。 ページ29
土方「A!おい、しっかりしろ!目ェ覚ませ!おい!」
牢の中へと入ってしゃがみ、Aを抱きかかえながら叫ぶ。だが、起きる気配は全くない。
土方はAに怪我がないか確認する。特に目立った外傷はなく、眠っているだけのようだ。
しかし、ホッとしたのも束の間。
Aの閉じられた目には、大粒の涙が浮かんでいた。
それを土方は、そっと指で拭いとった。
土方「怖ェ思いさせて悪かったな……。だがもう大丈夫だ。真選組総出で来たからな。
…まあ、気に食わねえが、お前が懐いたって総悟から聞いたから、万事屋も、一緒だぞ。……」
Aに優しく語りかける。だが、涙は土方によって無くなったが、一向に目を覚ます気配はない。
土方「…なあ、頼むから目ェ覚ましてくれよ……。
お願いだから……」
そう言って土方は、抱きかかえていたAを、より一層強く抱きしめるのだった。
。
。
。
。
。
。
。
男「本当に口先だけになっちまったな…残念だなあ……
頼むから、お前らは、俺をガッカリさせてくれるなよ。」
そう言って、男は今度は隊士へと向かっていった。やはりとてつもないスピードだった。
ガキンッ……
剣と剣のぶつかる音が響いた。
近藤「そ、総悟……!」
そう、そこには、ボロボロになりながらも隊士を護る総悟の姿があった。刀に力を込める総悟から、血がボトボトと流れ出た。
男「ホゥ…」
隊士「お、沖田隊長……!」
たまらず隊士達が叫ぶ。が、それを総悟は制した。
総悟「……騒ぐな!そんな暇があるなら立て!どんなにボロボロになろうが打ちのめされようが、最後まで立ってたほうが勝ちなんだ。俺はまだ立ってる。まだ負けちゃァいねェ。……テメーらはどうなんだ。負けちまったのか?情けねェなァ。真選組はその程度か……?
……いや、少なくとも俺の知ってる真選組は違ェ。なァ、そうだろィ?
…さァ、テメーら!俺の言葉が嘘にならねェようにしてくだせェよ!立って戦って勝って、証明しろ!」
近藤「テメーら、行くぞーー!!」
隊士達「「「おぉーー!!」」」
ボロボロになっていた隊士達を一瞬で奮い立たせた、か……。
ふむ。コイツらとなら楽しめそうだ。
男は不敵に笑って、再び刀を握り直したのだった。
袋のネズミはみんながみんな追い詰められているわけではない。→←鏡を見ていると左右がだんだんわからなくなってくる。
51人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時