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肆捨参節 『カチューシャ』 ページ16

「髪飾りです!琥珀でできた……そちらでは、えっと……」


「カチューシャ、ですよ。ピスティが買ってませんでした?」


「―――――あ……あれですか」





ジャーファルの助け舟で、ファッションやおしゃれに疎いヤムライハもそれが何か思い当たった。
詳しくは説明できないが、いわゆる髪留めの一種だとヤムライハは理解している。
シンドリアではあまり見ないが、レーム帝国でよく使われている……とかピスティは言っていたはずだ。





「倭ではかんざしとかのが主流なんですけどね、ヤムライハ様とか他国の方なら、カチューシャのが馴染みがあるんじゃないかって……。その、お二人には感謝しきれないほどお世話になって―――――。それで、せめてもの感謝の気持ちを、えー、あー、そのぉ……貰っていただけますか?」


「…………」





開いた口がふさがらなかった。

ヤムライハは、気がつけばAをぎゅっと抱きしめていた。あわててもがくAを、押さえつけるように強く抱きしめた。自分の顔はいろいろな感情が混ざりすぎてぐちゃぐちゃなのだろう。
「ありがとう「なんで」「もらわないわけない」「可愛い」―――――感情を全てAを抱きしめる腕に込めた。
なんてこの子は純粋なんだろう。こんな子に嫉妬していた自分がバカみたいだ。


Aの肩ごしに、微笑むジャーファルがいた。妹をみまもる兄のような優しい表情を浮かべていたが、心なしか得意げそうに見える。
ふと、彼が右手をあげた。彼の腕には、見たこともない腕輪がはめられていた。はちみつ色の光を放つそれは、恐らく琥珀でできたものだろう。

ヤムライハが腕輪を目に留めたのを見て、ジャーファルはさらに笑みを深めた。ジャーファルはただ笑みを浮かべるだけだったが、ヤムライハにはジャーファルの言いたいことが手に取るようにわかる。



――――ほらね?


――――本当そうですね!あーAは純粋で可愛い、どっかの意地悪な人と違って!…………笑わないでください!!



目線だけで言葉を交わす二人、一人何が何だかわからず慌てるA。幸せに満ちた三人は、この時事態を甘く見ていたのだ。





彼らの予想をはるかに上回る早さで、危機は静かに忍び寄っていた。

第捌章 陰陽師→←肆捨弐節 『拗ねた魔導士』



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表ヒナタ(プロフ) - ブラッキー×リーフィアさん» 別アカですみません、裏ヒナタです。コメントありがとうございました!面白いと言っていただけてなによりです(´∀`*)続き頑張って更新し続けますので、ゆったりお待ちください! (2014年10月30日 20時) (レス) id: f759972714 (このIDを非表示/違反報告)
ブラッキー×リーフィア - おもしろい!!(>∀<)/続きが気になります!! (2014年10月28日 19時) (レス) id: d1bbfb5376 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:裏ヒナタ x他1人 | 作者ホームページ:ホムペなんてないのだよ  
作成日時:2014年10月27日 15時

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