溶けそう【山田一郎】

溶けそう７ ページ8

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今回うちの大学のオケが演奏する会場についた

広いなぁ、いいなぁ、こんなところで演奏出来て



『あっ、ラフマニノフのピアノ協奏曲……』


プログラムを手に取って見てみると、その曲名が書いてあった

演奏、するんだ、いいなー。私がいつか弾きたいって思ってた曲だ


「好きなのか？」


ひょいっと横からプログラムをみながら言ってきた

一郎くんだ


『……！？びっっくりした……』


えっ、一郎くん着替えてる、？黒のワイシャツに真っ赤なネクタイだ………


「さすがにあの格好でここの会場には入れないと思ってな。急いで買ってきた。帰りの搬送は元々頼んでた業者がやってくれるそうだと。俺の仕事は終わったし、今日はクラシック聴いて気分癒そうかなと。」


『すっっっっごい、かっこいいです………一郎くん…………』


つい本音が……出てしまった…
いやでもかっこよすぎて直視できないなにこれ……


「………」


一郎くんの顔を見ると顔が真っ赤だった


「いや、まじまじ言われると照れるな……。ってか前は一郎さんって言ってたのに一郎くんって呼ぶし……」


『はっ、すみません！！馴れ馴れしくて……』


「あっ、いやいいんだ。きっと同い歳ぐらいだろ？俺ら。」


そりゃ、まあ、隣のクラスでしたし………

なんて言えるはずもなく…………



「ほんと今日はついてるな、俺」


『？何でですか？』


「んー？クラシック聞ける機会なんて無いしさ。最近ラップばかりでよ。」


『確かにそうですよね、でも私一郎くんのラップが好きなので……』


「そう言われて嬉しいな、俺も。」



言いたいこと、言えた

まさかこんな機会になるとは思ってなかったけど、一郎くんに一郎くんのラップが好きだと直接伝えることが私なりの小さな夢なのだった

本当は同じ学校に通ってるうちに言いたかったが、あまりにチキンな私は無理だった



「あ、あともうひとついい事あった」



『なんですか？』



疑問を浮かべてると一郎くんはニヤッとして小悪魔みたいに笑った


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「Aの連絡先がゲットできたことだ」









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