溶けそう【山田一郎】

溶けそう２０ ページ21

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「二郎、三郎！着替えたかー？」



会場を調べてみたら結構有名なホールだったもんだから俺らがいつも着ているような服じゃ行けねぇ


「に、兄ちゃん、これキツすぎじゃない？」


「は〜、二郎はいつもゆるっゆるでダボダボだからなぁ」


「はあ！？俺がゆるゆるでダボダボみたいに言うなよ！服がだ！服が！」


「あれをオシャレだと思ってる二郎の頭の中を見てみたいよ」


こんな時でも喧嘩かよ、まったく、妬けちまうぜ


「それそうと、いきなりどうしたんですか？クラシックのコンサートを聴くっていち兄らしくないですね。」


ま、確かにな、俺はずっとHIPHOPで育ってきたしな



「俺の好きな女が今日ピアノを弾くんだよ」


そう言うと2人とも目を見開いてこっちを見てきた



「に、にいちゃん、好きな人……いるの？」


「いち兄………僕のいち兄が………」


はあ〜、ほんとお前ら俺のこと好きだよなぁ


「実はさ、俺が人を好きになる資格なんてないと思ってるんだ。色んな人を傷付けてきた俺がだぞ、好きな女が出来て恋愛してるだなんて、笑えるよな」


俺がどんだけの人を傷付けてきたなんて、こいつらならよくわかってる
俺がどんな外道みたいな仕事に手をつけてきたのかも

俺はAが好きだ
細く長い指が、愛に溢れてる笑顔が、子供想いなところとか、頼まれたことを断れないお人好しなところとか、全てが愛おしと思う。
この数週間練習で手一杯だろうから連絡入れてなかったが、たった数週間でも早く会いたい、触れたいと思うほどだった


俺にはそんな資格があるのだろうか
なんて、散々Aにアタックしてきた俺が言うのも説得力ないよな

あいつを傷付けたくない、危ない目に遭わせたくないのと同時に触れたい抱きしめたいという自己中心な思考が駆け巡る


きっと俺は、ずっと前からお前に惹かれていた

突然現れては消える、ファンとして話しかけたことは1回もなく、媚びることもしなかったお前が気になって仕方なかった

でもお前はファンとして俺のことが好きなんだろう


「でもさ、兄ちゃん、俺がもしそういう立場だったら兄ちゃんこう言うと思うよ。お前の好きなようすればいい、もしダメだったらその時だ。って」


「そうですよ、僕はいち兄の恋愛応援しますよ！」



………まったく、良い弟を持ったな俺は




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いやちょい待って、なんでこんなお気に入り増えてんだ？びっくりhit数やばない？
コメントありがとうございます見てます……

純粋に疑問なんですけど、どうやってこの小説に出会ったのかぜひコメントで教えてください...

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