第4話 来たる人 ページ5
「おい、金は来月まとめては売って話になっただろ?!」
「オレ等のマスターが今すぐ払えって言ってんだからしょうがねぇだろぉ?」
周りからは黄昏の鬼(トワイライトオウガ)の人たちの甲高い声が
ボロボロのギルド全体に振動する。
この大人数に囲まれているんじゃどう見ても逃げられない。
私が少しあたふたしているとロメオ君が
「A姉はオレの後ろに隠れてて!!オレがA姉の盾になるから!!」
とロメオ君が私に指示を出す。
少なくとも私の方が年上なのに、年下の男の子に守られるしかないのは正直申し訳なかった。
だけど魔法の使えない私はどう見ても皆のお荷物で。
私はあの人たちに気付かれないようにこっそりと隠れる。
「お前らに払う金なんかねえよ」
「よせロメオ!!」
「こんな奴らにいいようにされて何も言わねえなんて皆腰抜けだ。
俺は戦うぞ!!!このままじゃ妖精の尻尾(フィアリーテイル)の名折れだ!!!」
何故かロメオ君は私の隠れたテーブルを離れ、リーダーらしき男の人の前に。
なんでそんなことをするの。
死に行くようなものだよ。
もう誰にも傷ついてほしくないの。
お願いだから傷つけないで!怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い、
「Aちゃん、見ぃ〜つけた♪」
「…?!!」
いつの間にか私の前に男の人が立っていた。
私は気付かぬうちにすすり泣きしていたことに気付く。
男の人は私のすすり泣いている音に気付いてしまったんだろう。
「A姉!!!!」
でもそれもいいかもしれないな。
私が傷つくだけでロメオ君が傷つかないんだったら。
男の人の手が私に触れようとしたとき、一瞬にしてその人がギルドの壁に突き刺さっていた。
顔を上げるとそこには…
「ただいま」
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作者名:杜山ひな子 | 作成日時:2015年4月2日 16時