罰ゲーム (ページ18)

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結局、大倉はあれから何も話さんかった。
普通に練習して、時々巫山戯あって、そして練習。
それを繰り返してて、流石に疲れた俺らは休憩することにした。

大倉は大の字になって眠ってしまった。
俺はそんな大倉の傍で座って、大倉の寝顔を見る。

「………なんやったんやろ？」

大倉が最近俺に対してずっと何か言いたげなのは感じてる。
大倉からのおつかい(という名のパシリ)をしてからや。

そう、亮ちゃんに会ってから。

でも、俺はまだ誰にも亮ちゃんのことを話してない。
連絡を続けてることも、時々電話をしたりしてることも、メンバーの誰にも話してない。
悪いことをしてるつもりはないけど、それでも言い出せなかった。

2人だけの秘密にして、俺だけの記憶にしたくて。

大倉だけは俺と亮ちゃんの関係を知ってた人やから、もしかたら色々と察してるんかもしれへん。
けど、多分何も言えへんのやろうな。

「………大丈夫やで、大倉」

起こさないように大倉の頭を撫でながら言葉を発する。
眠りが深い大倉はピクリともせず、気持ち良さそうに寝息を立ててる。

「…………俺はもう間違えたりせんから。これ以上何も望まへんから。だから、安心してな」

起きてる大倉に言えば良い言葉を、俺は眠る大倉に伝える。

臆病なんよね、俺も結局は。
でも今はまだ、このままがええんよ。

「………ん？あ、れ………おれ、めっちゃ寝てた？」

「1時間くらいやで」

「そか………ってか、丸ちゃんどうしたん？」

「えっ？」

「なんで泣いてんの？」

大倉に言われて、俺は初めて自分が泣いてることに気づいた。
無意識に流れた涙を説明するには、まだ早すぎる。

「さっきめっちゃ良い歌聞いてたんよ！それがちょっと今の俺たちに響いて泣けたんよぉ。たちょも後で聞いてみて！」

「歌聞いて泣いてたん？めっちゃロマンチストやん」

「心はいつだって乙女なのよ！♡」

「やめろやめろ」

出会った瞬間に決めてたことやねんから。
何を今更泣くことがあるんやろうか。
ほんま、弱いなぁ自分。

俺は大倉と笑い合いながら、また泣きそうになってた。

まだ、誰にも言えない心の中で。