山猫と山猫［尾形百之助］弍 (ページ18)

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六十四話ページ18

ア「あとは！！あとは！！」

すっかりAの話に興味津々のアシリパはその日ずっと彼女から離れなかった、

『んんー。じゃあ紙飛行機のお話ね。

　昔、外出を禁じられてた女の人に恋をした男の人がいたの。

その人は紙飛行機で女の人に自分の気持ちを伝えようと思ったけど

その日は無風だったから彼女の元へは届かないだろうと思ったの。

でも男の人が紙飛行機を投げたらいままで無風だったのにいきなり嵐のような風が
女の人の家の方向へと吹いていったの。

それで男の人は無事に女の人に思いを伝えることができて女の人も男の人にお返事ができて2人は結ばれたんだって。

男の人の日記にはこう書かれていたの。

"誰が風を見たでしょう。

あなたも私も見やしない。

けれど木の葉を震わせて

風は通り抜けていく。

風は翼を振るわせて

あなたの元へ届きませ。"

これも、素敵なお話でしょ？』

ア「紙飛行機…私もつくりたい！」

『ちょっと待ってね。』

アシリパはAに教えてもらいながら紙飛行機を作る。

ア「できた！！飛ばしていいのか？」

『いいよ。今日はすこし風があるから、

　優しく押し出すように飛ばせばちゃんと飛ぶ』

アシリパが紙飛行機を飛ばす

ふらふらと進んでいくそれは

やがて1人の男の軍帽の上に乗った

『アシリパの恋人は杉元さんかもねぇ。』

ア「なっ！！た、ただの伝承だろう！！

　わ、、私と杉元はただの相棒だ！」

『ふふ、からかってごめん。』

杉「アシリパさーん、なんか紙飛行機飛んできたんだけどー？」

ア「す、すすす杉元、それをちょっと投げてみろ！」

『(ふ、素直じゃないなぁ。)』

ア「Aも投げろ！」

『はいはい。』

Aが投げた紙飛行機は見事に山の奥へと行ってしまった。

『私とってくるけど、アシリパはもう暗くなるし
杉元さんのところ行ってて。』

ア「きをつけるんだぞ！」

Aは山奥へと進んでいった。

『たしかここらへん…。

　、、、、百之助さん…。』

尾「お前が飛ばしたのか？」

Aの飛ばした紙飛行機は、尾形の近くに落ちたらしく彼はそれをいじくっていた

尾「風が紙飛行機を乗せて恋人の元へ、か。

　ロマンチックだなぁ？A。」

『き、聞いてたの…』