検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:27,591 hit

ページ44

気づけば、部屋の真ん中に敷かれた布団の上にいた。


「……っ、…ぁ……」


斎藤が私の首筋に唇を寄せる。ぞくり、と身が震えた。

傷口に斎藤の唇や指が掠めるたび、鋭い痛みが走る。けれどそれさえも、甘美に思えた。


「傷が痛むか?」

「大丈夫、です。」そう答えた途端にまた涙が溢れた。痛みのせいじゃない。


「泣くな……」


心配そうに見上げてくる斎藤は、私の頰にそっと指を当てて涙を拭ってくれる。
私はその濃紺の髪をくしゃりと撫でる。この人のすべてが愛おしいと思った。

寒いから、という理由で襖を閉めてくれと懇願すると、恥ずかしいのかと聞かれて、頭が沸騰しそうになった。

斎藤は私の体に次々と口づけを降らせる。私も、彼の肩に一つだけ痕をつけた。彼の体に残る、私の生きた証。それがどれだけ愛しいことか。

彼と触れ合っている間は、全てを忘れられた。たた、幸せな感覚だけが、私の体を満たして行った。



私を抱きしめて眠る彼の髪を優しく撫でた。

それから頰にそっと口づけを落とす。


幸せすぎる、夢の続き。それに____別れを告げるように。

・→←二十四話 その想いは夢の中で



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 斎藤一 , 雛菊
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雛菊 | 作成日時:2015年10月12日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。