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この先の曲がり角を曲がれば、長屋の入り口がある。大通りには面していないため、薄暗く、人気も少ない。それを理由に選んだ隠れ家だ。

しかし、その時そこには珍しく人がいた。それも三人。そして三人が三人とも、帯刀している。

私は曲がり角を出たところでその存在に気付き、さっと身を隠した。覗き込むと、その男たちは確かに私の家の入り口の前にいる。なにやら相談をしている様だ。

____いい雰囲気じゃない。

それに加え、その男たちはどう見ても、幕府の役人だった。

私があまりにも依頼を受けなかったから、直談判に来た?

____いや、そんな甘いことじゃないかもしれない。

男たちが周りを気にする様に見渡したので、私は覗かせていた頭を引っ込めた。ガタン、と音が聞こえて、再び覗き込むと、男たちが私の家にずかずかと上がり込んでいるのが見えた。

土塗りの壁に寄りかかって、深く息を吐く。

ああ、やっぱり。私の予感は、嫌なものの時ほどよく当たる。

今考えることは一つ。如何に“彼ら”を巻き込まない様にするか。その方法だ。

どうやら、私に残された時間はあまりないらしい。先ほどまで息を潜めていた頭痛が再び襲ってきた気がして、顳顬を押さえる。二日酔いの頭痛とはまた違う痛みだった。

気配を消しながら、その場を立ち去った。

・→←第十五話 騒ぐ頭痛



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作者名:雛菊 | 作成日時:2015年10月12日 23時

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