検索窓
今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:27,594 hit

第十三話 酒と女は節度を持って ページ25

思えば、誘われるがまま、原田と永倉の間に座ったのが、Aの運の尽きだったのかもしれない。

夜は更け。いい時間帯になってきた頃には、Aは一言で言えば、出来上がっていた。


「遊女の服って分厚くて暑いんですよねぇ…」


そんなことを言いながら、上の着物を脱ぎ、襦袢だけに包まれている方を晒す。そして、鬱陶しいと簪を抜いた髪は、中途半端に崩れて垂れ下がり、妙な色気を振りまいている。

原田と永倉が飲め飲めと勧め、少しだけ、少しだけを重ねるたびに、ここまでになってしまった。


「お、おい、A。そろそろやめたほうがいいんじゃねぇか?」


永倉が目を逸らしながらそう言うが、Aは杯を下ろそうとしない。


「あれぇ?もうやめちゃうんですか、永倉さぁん…夜はこれからだろうが、付き合えこの野郎。」

「あの、Aさん?言葉遣いが、その、荒くないでしょうか?」

「私はいっつもこんな感じだろうが、なぁ?藤堂さんよぉ。」

「はいっ、いっつもそんな感じですね!」


藤堂も永倉も豹変したAに対してすっかりと萎縮してしまった。


「お前ら、飲ませすぎなんだよ!」


早々に酔いつぶれた近藤を介抱しながら土方が怒鳴る。


「Aちゃんって酔っ払うとそんな感じなんだねぇ。意外。」


沖田は呑気につぶやいてまた杯を傾けた。


「よっこらせっと、」Aはいつもなら考えられない掛け声とともに立ち上がると、ふらふらと歩き始めた。


「お、おいA!危ねぇからじっとしとけって。」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ。」

「いや、足ふらふらじゃねぇか。」


そして、そのまま辿り着いたのはあろうことか斎藤の隣だった。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 斎藤一 , 雛菊
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雛菊 | 作成日時:2015年10月12日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。