短編小説 /コイツは俺の/ ページ21
――――『胸にキス』
「なあ、暇そうだなあ？俺らと遊ばねえ？」
絵にかいたようなナンパ。勿論そんなことをされるのは初めての彼女。当然焦る。
「……えッ、や、暇じゃないです……」
「嘘だあ、だってさっきからずっとそこでボーッとしてるじゃんよ」
にやりと笑って彼女を見るのは、見るからに柄の悪そうな金髪の男たち。三人。
近所の高校の制服を着ていて、腰には何か鎖を付けている。今時こんなの恥ずかしくないのかな、と彼女はちらりと思ったが、口に出せば多分、いや絶対に殺される。我慢した。
ワイシャツのボタンを三つくらい外れている。ネクタイはしているものの、緩々で全然意味を成していない。
「と…ッ、友達を、待ってるんです……」
「友達って誰？男？」
「違います……ただの幼馴染です…………」
これはヤバい状況なんじゃないか？彼女は今更気が付く。でももう遅い。
「いーじゃん、そんなの放っておいて遊ぼうよ」
腕を強く掴まれた。痛みに顔を顰め、思わず振り切る。
「やめてッ」
「ふーん、そんな反抗的な態度とるんだ？俺らは優しくしてあげようと思ったのに。なあ？」
……ああ、こんな人気のないところで待ち合わせなければ良かった。
――――瞬間
「げふッ！」
「おい！？どうした！？」
さっき彼女の腕をつかんだ男が突然倒れこんだ。男の後ろから現れたのは―――
「大丈夫？」
待ち合わせの相手、彼だった。
「なっ……にしやがる！？」
掴みかかってきた相手をさらりと避け、その右腕を掴んで投げ飛ばす。
横から拳を振るってきた奴には後ろ蹴りをお見舞いしてから鳩尾に一発。
鮮やかなその動きに思わず見とれてしまう。そういえば彼は幼い頃から格闘術を習っていたと思いだした。……手を出す相手が悪かったということか。
「大丈夫？」
覚えてろよッ。ありきたりな捨て台詞を吐いた男たちが逃げた後、彼はもう一度その質問を繰り返す。
「あ、ありがとう……助かった」
そう言いながらも彼女の目にはじわりと涙が浮かぶ。彼が着てくれて安心したのか。ぽろぽろと涙が溢れ出す。
「悪かった、遅れて」
「ううん……」
彼はよしよしと彼女の頭を撫でながら、そっと彼女の胸にキスを落とした。彼女は泣きじゃくっていて気が付いていない様だった。
――――もう、コイツは俺のものだから。
――――誰にも譲る気は無いよ。
――――『所有』
短編小説 /貴方が私を見ていなくとも/→←短編小説 /ただ、ちょっと不安になっただけ/
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容姿端麗に生まれ変わり隊(プロフ) - 『頬』と『額』は親しみ感が溢れてていいと思いました(o^−^o) (2019年4月29日 13時) (
レス) id: 26de7c6d79 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - ちなみに頬へのキスは海外だと挨拶に近いですね。私も海外に住んでいるので親しい人とは頬にキスします。 (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - 月が綺麗ですねから来ました！！鼻梁は鼻筋の事ですよ。面白かったです！こんなことをしてくれる彼氏が欲しいです。続編も楽しみにしています！頑張ってくださいね！！ (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - とりあえず完結しました〜！皆さま本当にお付き合いありがとうございました<(_ _)>近々続編を作るつもりなのでそちらも是非よろしくお願いします！ (2017年2月11日 23時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - のわあああ、意味が意味なのでヤンデレ続きになって申し訳ないです……全然純愛じゃない…キスの格言に相応しくない…… (2017年1月31日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零ーﾚｲー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時：2016年8月31日 18時
