집착. ページ8
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「ほら、もう行くよ。」
「ん〜…そうだね、勘違いだったのかなあ…」
少しずつ声が遠ざかっていく。
ゆっくり口を抑えていた手が離れていって、ようやく強張っていた肩を解した。
「やっと行った。」
ぼそっとそう言うテヒョン先生の声が何処か冷たく感じて、喉が詰まるのを感じながら小さく呟いた。
『隠れるんですね、』
扉を見つめていたテヒョン先生はこっちを見て、綺麗な顔を歪ませた。
「めんどくさいじゃん?A以外の子に使う時間がもったいない。」
それに、
「Aとの時間を邪魔する奴は、大嫌い。」
ーーー執着ともいえる、重たすぎる感情が容赦なく僕を襲う。
笑っているはずのテヒョン先生の瞳は光を真っ暗で。
『っ、あの、僕ちょっと用事思い出しちゃったから行きますね、ありがとうございました。ここは後でまた僕が整理しておくので、』
ゾワッと背筋に走った悪寒を誤魔化すように早口で申し立てる。
「え?それなら僕もあとで『大丈夫です!本当にありがとうございました!』
首を傾げながら僕の方へ1歩足を踏み出そうとするテヒョン先生を静止するように、急いで資料室を出た。
背後から聞こえた声には、気づかないふりをして。
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「……あーあ、逃げられちゃった。」
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狐うどん(元稲荷)(プロフ) - もうほんと…wakaさんの書く小説好きすぎる… (2022年12月17日 7時) (レス) id: 161e002670 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - ゆさん» 奪い合い私も大好きなんです…ㅎㅎ これからも奪い合ってもらう予定なので!!楽しんでいただけると! (2022年6月27日 9時) (レス) id: e247cabc05 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - mikittyさん» ようやく更新出来ましたㅠㅠ ありがとうございます! (2022年6月27日 9時) (レス) id: e247cabc05 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 奪い合い最高です🥳 (2022年6月27日 2時) (レス) @page11 id: 64fd1b300f (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新お疲れ様です!! (2022年6月26日 23時) (レス) @page11 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:waka | 作成日時:2022年5月8日 0時