地球(ほし)の本棚と光の計算機

第１話・Ｗの検索 ページ5

…あれから、1年が経った。

鳴海さんみたいにうまくはいかないけど、フィリップくんの協力もあってか順調。

まあ、依頼ってほとんどペット探しなんだけどね？

たまにドーパント絡みの事件が舞い込んでくるぐらい。

＜ガチャ＞

「ねえ！ハードボイルドって何？」

翔太郎とともに入ってきた女の子が言う。

翔太郎「いかなるときでも冷静さを失わない、男の中の男の生き方…それが、Hard Boildだ」

言い終えてから格好つけてコーヒーを飲む翔太郎。

…けど。

「立ち退いてもらいます。これ権利書」

翔太郎「？！」

A「汚っ？！」

翔太郎がコーヒーを噴き出した。

翔太郎「ふう…いけねぇなあ…女子中学生がこんな悪戯なんかしちゃ」

あ、また格好つけてる。

「誰が女子中学生よ！私は20歳！それにこの街には来たばっかり！」

翔太郎「はあ？！20歳？！」

A「…それはおいといて、立ち退きってどういうこと？ていうか…誰？」

「私は鳴海亜樹子。鳴海荘吉の娘よ。で、ここの大家」

その子がソファに座った。

翔太郎「おやっさんの娘？…まあいいか」

A「鳴海さんなら―」

翔太郎「しばらく戻らねぇよ」

翔太郎が私を遮った。

亜樹子「何それ…私聞いてないよ」

なんで嘘をついたのか聞こうと口を開きかけたとき。

＜ピンポーン＞

事務所のチャイムが鳴った。

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