ＥＧＯＩＳＴ (ページ3)

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「菜々子ちゃん、誰？あいつ」

「あ、俺知ってる。Ｓの篠原じゃん」

「え、菜々子ちゃん知り合いなの？」

休憩に来た選手たちが、そう聞いてくる。

知り合いっていうより…知り合い…ていうか…。

顔見知り…程度なんだけど…。

「あ、う、うん！ちょっと、ね。皆お疲れさま！レモンの砂糖漬けも作ったの、食べて！」

ふい、と。

篠原くんを無視した。

「…いいのー？篠原くん、傷ついてるけど」

「え、」

もう一度振り返れば

酷く、酷く

傷ついた篠原くんの顔。

彼は、すっと体の向きを変えると去って行ってしまった。

「(――――あ、)」

私、最低なこと、した。

ずき、と胸の奥が痛み、汗が出てくる。

気が付いた時には走り出していて―――。

「え、ちょ、ちょっと、菜々子？！」

「ごめんね！教室に記録ノート忘れてきちゃったから、取ってくるね！」

「はい？！」

「……さっき、昨日の分の記録ノート書かなきゃとか言って書いてたじゃん……」

ベンチに置いてあるノートをちらり。

「もっとマシな嘘つきなさいよ」