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手術室前で僕は皆とAを待っていた。
皆して深刻な顔をしている。
その空気に耐えられず、僕は欺いた。
「みんな、なんでそんな暗いのさ?大丈夫だよ〜?Aならきっと!」
僕は笑って言った。
みんな僕の方を見て、目を見開いている。
「そう、だよね…無事…だよねっ…」
マリーは涙目になりながらも、そう微笑んだ。
「……おばさん…ヒヨリ…」
ヒビヤくんはあの時の記憶が戻ってきてしまったみたいだ。
「…手術室のランプ、消えました」
いつもとは違う、暗いエネちゃんの合図で僕は振り向く。
中からは、医師の人が深刻そうに出てきた。
「先生っ…Aは…!?大丈夫ですよね!」
医師は黙ったままで。
しばらくして口を開いた。
「命は取り留めました」
僕らの表情には安堵が浮かぶ。
そしてまた、崩れ去ったんだ。
「ただ、記憶喪失の可能性があります」
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作者名:真冬 | 作成日時:2015年2月7日 10時