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貴方side





いまだズキズキと痛むでこを抑えながら、俺はボールの跳ねる音の絶えない体育館へと向かった。

ガラリと扉を開けると、一気に注目する視線。
わ、デジャブ。


すると、右半身に突如衝撃が走る。
五色が飛び付いて来たのだ。





『ぐふっ』


「大丈夫か!?大丈夫なのか聡!?
生きてるか!?頭イカれてないか!?俺は誰でしょう!!」


『生きてるしイカれてないよ・・・あれ、君誰だっけ』


「天童さぁあん聡がぁあぁあ!!!!」





途端に覚に泣きつく五色。
この数時間で随分と懐かれたものだ。

所在なさげにポリポリと首の裏を掻いていると、ご老人、いや、鷲匠監督が俺の元に歩み寄って来た。
名前はさっき覚に教えて貰った。





「おい、おめェ名前は」


『・・・天童聡です』





そう名乗ると、俺を爪先から頭のてっぺんまでじっくり眺める監督。
居心地が悪く身じろぎする。

数秒後、監督は俺の目をしっかりと見つめこう言い放った。





「聡、お前バレーしろ」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





『はあ"ッ!!?』





俺は目の前のお方が鬼監督であるということも忘れ遠慮解釈なく顔を思い切り顰める。
今のって俺の聞き間違いじゃないよね?
「バレーしろ」って言ったよね、この人。





『え、あ、は?ちょっ・・・』


「聡落ち着いてー」


『ムリでしょ!!』





呑気な覚の言葉に反射的に言い返す。
待て待て待て、どこがどうなってそうなった!?





「俺が聡の入部を進言した」





そう言って挙手したのはまさかの牛島先輩。
俺はスーパーエースなどということに一切の躊躇なく牛島先輩に目を剥いた。





『どういうことですか?意図は?理由は?俺が納得するまで膝詰めでお聞きしますけど』


「ゴメン皆、聡こうなると止められないから。
末永く見守ってやって」





俺は彼らの大切な練習時間を奪ってしまっているようだが、今回に関しては俺への同情の念が10割だ。
みんな傍観モードに移行している。

牛島先輩は顔色ひとつ変えずに俺に丁寧に説明を始めた。





「お前が、俺のスパイクを止めた時、素晴らしいセンスだと思った」


『でこですけどね、止めたの』


「中学で培ったジャンプ力、滞空時間の長さ、俊敏さ、極めつけに素人ながらコースを読み空中で動く事の出来るセンスと勘」





おお、俺のツッコミどスルーして行ったな。
牛島先輩は驚くくらい俺をベタ褒めした。

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緋色(プロフ) - カフェオレマンに笑った (11月18日 16時) (レス) @page31 id: 97dd8743d7 (このIDを非表示/違反報告)
綿(プロフ) - 舞さん» 早速リクエストありがとうございます!!承知致しました!! (2018年11月20日 19時) (レス) id: 57f02aab48 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - リクで、聡が子供になっちゃってみんながメロメロに…!的な展開が見てみたいです!お願いします! (2018年11月20日 2時) (レス) id: 61de501e96 (このIDを非表示/違反報告)
綿(プロフ) - 雷雅さん» ありがとうございます!!頑張りますー!! (2018年11月20日 1時) (レス) id: 57f02aab48 (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2018年10月17日 20時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綿 | 作成日時:2018年7月2日 20時

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