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2"朱赤の無邪気。 ページ5

身体を抉られてそのままぐっすりと眠れる人間なんて居るのだろうか。

私はうらたぬきに喰べられた左手にシーツを巻いて、ひたすら痛みに耐えていた。シーツと言うのも、私が居るのはベッドの上らしくそこに敷かれていたものを剥いで左手に巻いた。首輪の鎖はベッドの枕元の柵に繋がっている。長さは調節されていて、窓の無いこの部屋唯一の出入口であるドアに届くか届かないかくらいの長さだ。


いつも家の物置で寝ていたから、こんな上質なベッドで寝た事なんてない。こんな傷を負ってなかったら今頃ぐっすり眠っていたかもしれない。


・・・意識を失えば、うらたぬき以外の奴にまた喰べられるかもしれないと思うとうかうか寝ていられない。



ガチャ


A「!」

坂田「あ、居た!
ごめんなー、うらさんてば君の部屋どこにしたか教えてくれんかったんよ」




入って来た相手に、ぐっと身構える。
赤い甚平にフード付きの黒いマント。溌剌とした赤い髪と眼。確か・・・名前は坂田と呼ばれていたような気がする。

カランカランとうらたぬきよりは低い、普通の下駄を鳴らしてベッドでうずくまりながら痛みに耐える私に近付いてくる。・・・また、喰べるんだろうか。今度はどこを・・・?




坂田「んーと、俺は坂田って名前な?
君の名前はなんて言うん?てか、左手喰われたん?めっちゃ痛そうやなー」

A「っ・・・・・・!」びくっ)




「ちょお見してな」と言われてシーツを剥がされ、左手をガシリと掴んでまじまじと見られる。
っ・・・やだ、嫌だ・・・!また殺されないように喰べられるなんて・・・。

すると坂田はおもむろに目を紅くボウッと光らせた。それと同時に温度の無い赤い火が左手の傷口に灯る。




A「・・・え・・・」

坂田「・・・これでよしっと。
どう?握ったり動かしたりして痛く感じたりする?」

A「・・・・・・痛く、ない・・・」

坂田「そか!
上手くいって良かったわー」




にこっと屈託のない笑顔を浮かべる。
・・・なんでそんなに笑えるんだろう。私なんて、笑った事すらないのに。

うらたぬきに喰べられた傷口がすっかり綺麗に治った左手を眺めた後、私はぽつりと「なんで」と呟いた。




坂田「ん?」

A「なんで、私を助けたの」

坂田「なんでって、どう言う意味?
死にたかったのに?簡単に殺せるのに?」




ただ普通に聞き返されてるだけなのに、坂田から返された言葉は少し怖いと感じた。

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エス(プロフ) - 更新停止中ですがまた書いて欲しいです! (2020年6月1日 22時) (レス) id: 3190ad61df (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - すごく好みです!更新待ってます、! (2020年4月27日 17時) (レス) id: 4f83e9d9b1 (このIDを非表示/違反報告)
優姫(プロフ) - 加恋から改名したものです!前にもコメントしましたがこの作品世界感から、情景の表し方とか好きです。応援してます。 (2018年11月8日 20時) (レス) id: a847480144 (このIDを非表示/違反報告)
むぅな(プロフ) - すごくおもしろかったです!浦島坂田船のかっこよさも何一つ欠けていない上に独特な世界観。大好きです。質問ですがもう終わってしまうのですか?続くではなく終わりと書いてあるので、、、終わらないでください!!! (2018年11月4日 21時) (レス) id: f63dac09fd (このIDを非表示/違反報告)
ALICE - こういう小説本当好きです!! 更新頑張って下さいっ! (2018年8月28日 13時) (レス) id: 3110886a37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暇犬 | 作成日時:2018年6月13日 0時

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