ns ナキ・ムシ ページ42
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「ただいまー」
一応声をかけたけれど、相手はきっといない。
仕事がかなり巻いて終わって、まだ夕方なのだ。
その旨をメールしたら、じゃあ俺が帰ったらいっぱい甘やかしてね♡との返信が来たのでかわいさに悶えていたのは秘密の話。言ったらキモいって言われちゃう。
普段はツンツンしてるくせに時折こういうことするから、心臓に悪い。いいけど。かわいいから。
時計を見て、かなり時間があることを確認する。
夕飯はどうせ出前だろうから作る必要なし。
明日は二人とも休みだし、甘やかしてね、ということはきっと朝までコースだろう。
今のうちに仮眠でもとっておこうかな。そしたら流星が先に寝ちゃってもお世話してあげられる。
そうと決まればすることは1つと、寝室に踏み入れた瞬間感じる違和感。
「ん……?」
そこまで広くない寝室の大半を占めるキングサイズのベッド。
その上にいつもはででーんとのっているはずの枕がない。
柔らかくて大きくて、流星のお気に入りなのだけれど。
床にも転がっていないし、外を見たけど干されてもいない。
念のため洗濯機も覗いてみたけど、ない。
失くすようなものでもないのに……と首をひねりつつ、とりあえず着替えようと自室のクローゼットを開けたところで、俺は固まった。
ある。アウターの間にぎゅうぎゅうと押し込まれた枕が。
「えぇ!?」
思わず声に出してしまった。
このクローゼットわりといっぱい入ってるのに、隙間に無理やり詰め込んである。
いったい何のつもりなのだろうと、そーっと取り出す。
なんか仕掛けられてたりとか。流星のいたずらかもしれないし。
でも何も起きなかった。
振ってみても中に物が入っている様子はない。
⋯⋯これは俺の理解の範疇を越えている。
考えることはさっさと諦め、帰ってきたら聞こう⋯と想いながら、とりあえず俺は眠りについた。
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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時