ns 愛は勝手 ページ37
.
好きな人に好きな人がいる辛さは、俺にだってわかる。
すごく苦しくて、切なくて、やるせなくて、おかしくなってしまうほど。
やから、これぐらい許して欲しい。
「流星、今日家行っていい?」
「あ、うん⋯⋯大丈夫。」
誰もいない楽屋、スマホとにらめっこしていた俺を後ろから抱きしめて、首元に顔を埋める大ちゃん。
そのまま、手に持ってたスマホをするりと取り上げられ、カタン、とテーブルに置かれる。
「⋯しんどい」
「だい、⋯ん、⋯」
頬に手を添えられて、目を見る前に重ねられる唇。
やさしいキスなんか、そんなものはしない。
やるせない気持ちをぶつけるように、自分を落ち着かせるために、少し激しめの口付けだ。
「大ちゃん、⋯もう皆戻ってくる、」
「もうちょっと、だけ、」
「ぁ、⋯んぅ、⋯」
少し伸びてきた横の髪を耳に掛けられ、耳朶を指で弄ばれる。
ごめん大ちゃん、大橋くんみたいに綺麗な髪の毛じゃなくて。
ごめん大ちゃん、大橋くんみたいな綺麗な声じゃなくて。
ごめん大ちゃん、
俺、大ちゃんのこと好きなんだよ。
「大ちゃん、⋯」
小さく名前を呼ぶと、嬉しそうに微笑む。
でもその微笑みは、俺に向けられたものじゃない。
大橋くんに向けたもの。
"ズキン...."
胸が苦しい。
胸が痛い。
胸が、切ない。
「流星って、丈くんのこと好きやろ」
「え?」
「俺、はっすんのことが好きなんよ」
「⋯大橋くん?」
「協力してくれん?⋯お願い」
2年前、大ちゃんのそばにいるために、丈くんが好きって嘘を吐いた。
別に、丈くんのことは昔からの先輩としては好きだったけど、丈くんが大橋くんに片想いしてるのは前から知ってたし、恋愛的な好きとは違ったから。
それでも、大ちゃんといるために。
「⋯⋯いいで、」
俺と大ちゃんの歪んだ関係が始まってしまった。
でも、そばにいればいるほど感じてしまう、大ちゃんの大橋くんを想う気持ち。
自分でそばにいることを選んだのに、勝手に傷ついて、辛くなって苦しくなって、
バカやなぁ、おれ
.
205人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時