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「なんで丈くんなんやろ、」
「⋯⋯、」
ベッドの上で、控えめに離れたお互いの体。
さっきまでの熱は冷めてきて、鼓動も落ち着いてきた頃。
「腐れ縁、やから。ふたりは」
「なにが腐れ縁だよ⋯ほんま、」
「わっ、」
突然体を抱き寄せられ、大ちゃんの腕の中におさまる。
ドク、ドク、と心臓がまた鳴り出した。
「俺がはっすんと友達やなかったら、違ったのかなあ⋯」
今日の大ちゃんは一段と弱々しい。
泣き言、ばっか。
少し乱れた髪の毛を撫でてあげる。
柔らかい髪が心地いい。
「流星、優しい」
「そう?」
「うん、⋯流星は、優しいし、強い」
「強い?」
「好きな人に好きな人がいるのに、俺みたいにならないから。」
⋯それは、とんだ間違いだよ。
俺は強くなんかない。
毎日苦しくて、辛くて、全部何もかもやめたくなる。
大ちゃんを好きでいるのも、やめたくなるぐらい。
「⋯そんなこと、ないで」
「ある。⋯なぁ、もう1回、⋯甘えていい?」
「⋯⋯どうぞ、」
大ちゃんの目を見て、小さく笑うと、今度は俺に微笑んでくれる。
それだけで、乙女みたいに胸がトクトクと鳴りだすから、
好きになることをやめたりなんて、できっこない。
そして、日に日に好きが大きくなるのは、当たり前なんだ。
あたたかく包まれる感じに慣れないよりも失うほうが怖くなったやんか。
抱きしめられて、体が離れて、上から大ちゃんに見下ろされる。
影の掛かった顔は、やっぱり弱々しい。
今にも泣きそうだ。
泣かないでほしい。俺は大ちゃんの笑った顔が好きなんだから。
「⋯やだなぁ、」
ポツリ、零れた言葉。
大ちゃんは"?"を浮かべて俺を見つめる。
「⋯大ちゃん、笑って?」
「流星、」
「泣きながらセッ クスなんて、できん」
「流星がそんな単語言うとか、変」
「うるさいな、ほら泣かんでっ、んん、っ、⋯」
最後まで言い切る前に閉じられてしまった口。
置いていかれないように、それに応えて、舌を絡めさせて、大ちゃんの首に腕を回す。
「っ、ぁあっ、....、」
「りゅうせ、...く、...、」
なんで、大橋くんなんだろう。
なんで、大橋くんは大ちゃんから笑顔を奪う存在なのに、大ちゃんに愛されているんだろう。
「だい⋯ちゃ、」
俺のホントの気持ちを打ち明けられる日は、来るのだろうか。
(愛は勝手、)
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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時