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「なんでもない」
そう答えながらもっと素直になれたらな、と思う。
「なあ、流星くん」
恭平は気にしてなさそうに俺に声をかける。
そしてくるっと振り返り俺の手からドライヤーを奪った。
カチカチっと電源を切ると、
途端に部屋が静かになった。
「なぁに、まだ全然乾いてないで。」
「俺“も”好きやで。」
にやりと笑った恭平を見て、再び顔が熱くなる
なんだ、聞こえてたんやん
恥ずかしくって恭平を睨むけど
「やからそれ、逆効果なんやって」
ドライヤーを置いた恭平は、
立ち上がり俺を抱きしめる。
こうなれば俺の負け。
大人しく抱きしめられたあと
俺も恭平の背中に手を回す。
恭平の濡れた髪が冷たい。
けど、心はあったかい。
2人の体温が混ざりあって溶け合う。
きっと、幸せってこういうことだ。
ぽたり、と恭平の髪から滴がしたたって俺の腕に落ちた。
それに気づいた恭平が離れようと腕の力が緩む。
俺はまだ離れたくなくて恭平に強く抱きついた。
「流星くん?」
恭平の声が優しい。ふたりきりの時の声だ。
「⋯⋯俺ね、きょーへいがいちばんすき」
「っ、へ、」
驚いたのかまぬけな声が降ってきて
じわじわと恥ずかしくなるけど、今回はもう逃げない。
なんでもない、なんて言わない。
「きょーへいが、世界でいちばん、すき」
顔を見ては言えないから恭平に抱きついた。
いつも幸せをくれる恭平が俺は世界で1番好き。
そして、一緒にいられるこの時間が、世界で1番しあわせ。今日も恭平に届けたい想いがあることが嬉しい。
「⋯俺も、世界で一番好きやで」
俺が一生懸命、振り絞って伝えたことを恭平はさらっと言ってしまう。
いや、本当は耳が赤くなっていること見なくてもわかるけど。
そんなところを含めて、やっぱり俺には恭平を超える人はいない。
これからも一緒にいたいし、一緒にいてくれないと困るから。
消えることなんてない宇宙に届くくらいの俺の大きな愛をたまには口に出して伝えないとなと思った。
(いつまでも心に乙女、)
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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時