推理……？ ページ8
バタンっ
何処かの扉が閉じる音に、レイラはハッと目を開けた。
頭を動かすことなく、目だけで薄暗い部屋を見渡した彼女は物音をたてることなく起き上がる。
そのまま窓際に寄り、カーテンをずらすと日の差さない町を駆ける人影があった。
無言で鞄を持ち、蛇のようにスルリと部屋を抜け出すレイラ。
辿り着いた玄関の扉の閉めてあった筈の鍵は、仕事を放棄していた。
どうやら先程の音はこの扉の音だったらしい。
開けた扉の隙間からは、薄明かりが漏れてくる。
と言っても、雲に隠れた月の光ではなく、点々と灯るやる気無さげな街灯の灯りだ。
ーさっきの奴は……
人気のない辺りを見渡したレイラは、人影が向かったであろう方向へ歩を進める。
伸び縮みする自身の影を連れ、彼女が辿り着いたのは……
「……洞穴？」
夜の闇よりも濃い黒を呑み込む横穴だった。
見ればその横には古びた木製の立て札が倒れ掛かっている。
慎重に起こしたそれには、
【カナシダトンネル】
と滲んだ黒文字が並んでいた。
「カナ、シダ……」
シダはこのシダケタウンの事で間違いないだろう。
カナ……？
迷いもなく漆黒の空間へ呑み込まれたレイラは頭を回転させる。
ふと何を思ったか、彼女は腕時計の電源を入れた。
トンネルの壁の一部に淡い光が這う。
「……カナ……カナズミ……カナズミシティ……」
地図を見つめていたレイラの口から呪文のような呟きが漏れた。
それと同時に僅かな記憶が思い出される。
カナシダトンネルはハギ老人のポケモン、キャモメのピーコちゃんとデボンの荷物を取り戻したあのトンネル。
ここはあの時の反対側だと。
レイラは自身の推理に小さく首を縦に動かす。
と、
パッ、
と音がしそうな程の勢いでレイラを一筋の灯りが照らす。
正面からのそれに思わず手で影を作り、彼女は目を細めた。
「誰……？」
柔らかな声の主の姿は、慣れてきたレイラの瞳に映る。
細身のワンピースを身に纏い、太い懐中電灯を両手で持つ女性。
その足元には簡単な食べ物と飲み物が置かれている。
「あんたが……ミツルの従姉妹？」
確実にレイラを怪しんでいた女性の瞳が小さく頷いた。
簡単な自己紹介をしたレイラへ、女性はミチルと名乗った。
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CrazyBook(プロフ) - コメントありがとうございます！本当に気長にお待ちください。 (2019年8月12日 9時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
菜々美 - この作品好きです！ゆっくりでいいので更新頑張ってください。 (2019年7月18日 16時) (レス) id: 179628e6fd (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - かしわさん» コメントありがとうございます！完結するまで更新し続けますので気長にお付き合いください！ (2019年3月24日 21時) (レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ - この作品好きです。更新頑張って下さい。 (2019年3月23日 1時) (レス) id: 356d08c55f (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - ルインさん» コメント、ありがとうございます！嬉しい限りです！これからも気長に読んでください！ (2018年7月19日 19時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2018年3月28日 22時
