君が僕の希望だから 7

315：君が僕の希望だから ページ19

人間なんて、大嫌いだった。


浅ましくて嫌らしくて、恐ろしいほどに残酷で。
僕達のことなんか、使い捨ての道具としか考えていない。

自分の欲を満たすための美術品。
自分を誇示するための装飾品。

所詮、そのためだけの傀儡だ。


…でも、そんな僕のために涙を流す人がいた。


信じなくてもいいからと、僕の身体を治して。
僕を思って、泣くのを必死に堪えて。

馬鹿なのって、言いたかった。
底無しの馬鹿だって。

でも、変な話だよ。
僕まで泣けてきて、いつの間にか絆されていた。


人間なんて信じない。
二度と関わるものか。


そう、思ってたはずなのにね。


君の声が、僕に力を与えてくれた。
君の手が、僕に温もりを与えてくれた。
…君の笑顔が、僕に幸せを教えてくれた。


自分の過去が嫌いだった。
自分の姿が嫌いだった。


でも、もう僕は悪夢に囚われたりはしない。

君が教えてくれたから。

人間が、悪い奴らばかりじゃないことを。
過去に決別した、その先の未来を。


この姿は、昔の愚かな自分の呪い。
でも、この姿のおかげで僕は道を切り開けた。
あの過去が無ければ、君に会うことは出来なかった。

不思議なものだね。

僕は、自分の姿を、好きになることもできるかもしれない。


前は呪縛としか思えなかった「美しい」という言葉だって、君といるなら僕の魅力だと、僕の誇りだと言える気がするよ。



【紫水晶の君】から【親愛なる救い人】へ。



A。君と一緒なら、どこへでも。

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