252:なんだってんだよー! ページ4
「…とりあえず、3人で行動すればいいんじゃないかな。ヒカリとタケシと合流するのは難しそうだし」
そうしよう、と明るい返事が返ってくるものだと思っていたAは不思議に思った。
サトシもジュンも揃って微妙そうな顔になったからだ。
彼らがそんな表情をする理由が見当たらずピカチュウに助けを求めるが、ピカチュウもサトシの肩の上で首を傾げるだけだった。
「私変なこと言った?」
「…いや?しゃーねー、3人で行こうぜ」
ジュンはやれやれと肩を竦め、さも当然のようにAの手をとる。が。
「だーかーらー!」
「んだよサトシ、手ぐらいいいじゃんか手ぐらい!もう引っ張ったりしねーし!」
むすっと頬を膨らませたサトシがジュンの手を引き剥がした。
その流れで、何故かギャンギャンと言い争いが勃発してしまう。
ますます意味の分からないAの肩の上にピカチュウが避難してきた。
「…ねえピカチュウ。2人は何が不満なのかな」
「ピーカ」
ピカチュウは呆れたようにかぶりを振ることで答えた。
一番の相棒の心境は分からないでもないが……問題は、サトシ自身が自覚していないことだ。
サトシは「なんだってんだ」と喚くジュンに言い返してはいるものの、どうして自分が彼と言い合っているか分かっていないのだ。
ただ、なんとなく胸の辺りがちくりと痛んで、どろどろとした何かが心の奥底で渦巻いて。それを何と呼ぶのか、そもそも何が原因なのか。それすらも見当がついていない。
だから余計にタチが悪いというか。
ピカチュウは仕方がないな、とため息を吐き、床へ飛び降りた。
もはや何について揉めているのか分からない2人の言い合いに終止符を打つため、頬袋から電気を迸らせた。
「ピーカーチュウ!!」
「うっ!?」
「ぎゃーーーー!!」
他の客の迷惑にならない程度に加減した10万ボルトは見事命中。
サトシとジュンは頭から薄っすら煙を立ち昇らせている。
「ピカチュウ?」
「…っなんだってんだよ!いきなり10万ボルトなんて!!」
「どうかしたのか?」
「おいサトシ、お前何でそんな平然としてんだ」
それはもう慣れとしか言い様がないのだが。
「チュッピ、ピピカチュウ」
ピカチュウは鳴き声と身振り手振りでサトシに何かを訴えると、最後に両手でAを指した。
「あ…そっか。そうだよな」
「で?ピカチュウは何て?」
「Aを放っておいて口喧嘩はよくない、そもそも他の人の迷惑になるって」
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こうもり(プロフ) - クローバーハートさん» そうですね!もう進化したので『(元)イーブイ、頑張る』といった感じです(笑)そして相変わらず勘が鋭いですね!ご名答です!リーフィアは新しい技を覚えたのですが…それが何かは次のお話で! (2016年12月27日 14時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
クローバーハート - おおっ!イーブィからリーフィアになったね!イーブィ、頑張る!から変わってリーフィア、頑張る!みたいになった感じ気分だよ!(笑)新しい技も覚えたのかな?('∇`)まさか…ソーラービーム…だったりして?(ーωー) (2016年12月27日 10時) (携帯から) (レス) id: d08ee1eb1c (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - クローバーハートさん» 残りHPが少ない状態で仲間を呼ばれてぎゃあああああ(O_O)ってなったことはありますが、珍しいポケモンに会ったことはないですね…。そして絵も見てくださってありがとうございます!小説を書くのも絵を描くのも好きなので、両方上手くできるように頑張りたいです! (2016年12月26日 8時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
クローバーハート - あなたは野生のポケモンの仲間呼ぶ所はよく現れましたか?('∇`;)絵相変わらずに上手いねぇ!パソコンを使って作ったみたいね。サンタさんとか何かのコスプレを着た姿は無いね…(´ω`)サトシのピカチュウは居ないね…。 (2016年12月25日 22時) (携帯から) (レス) id: d08ee1eb1c (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - クローバーハートさん» 私はまだストーリーをゆっくり進めている最中なので、そういった楽しみ方に憧れます!クローバーハート様のところに理想のピカチュウがやってきますようにo(^▽^)o長文失礼いたしました! (2016年12月25日 13時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2016年12月11日 18時